小烏丸

九州大学院経済学部卒業。ミュージシャンとしての活動の傍らコピーライター、カメラマンを生…

小烏丸

九州大学院経済学部卒業。ミュージシャンとしての活動の傍らコピーライター、カメラマンを生業にする。趣味は読書、ドラム、ゲームなどインドア派。 読書感想という形で、現在の世の中で考えるべき話題を考察します。基本世間の逆張りなのでマイナー意見だとは認識済みです(笑)。

記事一覧

自分の好きなことを仕事にするな

早いもので2024年ももう3月。「も〜う、い〜くつ寝ると〜🎵」4月1日。そう新学期。 新学期と言えば楽しいことを期待してしまいそうですが、そうじゃない年頃の方もいらっし…

小烏丸
1か月前
6

高熱にうなされながら考えた言葉のチカラ

約二年ぶりに一念発起してnoteを再開して3週目。早くもかつてないトラブルに見舞われる羽目になった。突如として39度越えの高熱に見舞われてしまったのだ。 発熱したのが三…

小烏丸
1か月前
2

運命に立ち向かわなくてもいい。映画「夜明けのすべて」

もう公開から一ヶ月も経ってしまいましたが、ようやく映画「夜明けのすべて」を観覧して来ました。上白石萌音と松村北斗が主演です。 映画の内容に関しては、もうかなりの…

小烏丸
2か月前
7

あなたには残すべきレガシーがあるか?

久しぶりに聞いた「レガシー」先日社内のとある会議で若手社員が「うちの会社には長きにわたって売れ続けるレガシーとなる商品が必要なんです!」と力強く主張していた。 …

小烏丸
2か月前
2

なぜ日本人は一生懸命働くのか? 山本七平「日本資本主義の精神」

「日本人は勤勉だ。」 こう言われて否定する人はいない。 「日本人と言えば勤勉。勤勉と言えば日本人。」であり、「社畜」「ブラック企業」という言葉がはびこるのも、この…

小烏丸
2年前
10

宿命に立ち向かう人間の美しさを描く、NHKドラマ「カムカムエブリバディ」。

自他ともに認める”三度の飯より読書好き”の私が珍しくNHKの連続ドラマ「カムカムエブリバディ」を毎日観ている。我ながら驚くべき事実である(笑)。 今作の特徴は何と言っ…

小烏丸
2年前
6

アインシュタインはなぜバイオリンを弾いたのか?脳と音楽の不思議な関係

世界中の誰もが知る物理学の天才アルバート・アインシュタイン。 だが、彼がヴァイオリンの名手だったことを知る人は意外と少ない。アインシュタインはバッハやモーツァル…

小烏丸
2年前
12

覇権戦争からは誰も逃れられない。荒れ狂う世界を知る上で必読の書、中野剛志「変異する資本主義」。

経済産業省の現役官僚であり、評論家でもある中野剛志。 この人の放つマジックはいつも私を困らせる。 そのマジックとは、どんな本でも「タイトル」「目次」「まえがき」…

小烏丸
2年前
2

”批評の神様”「小林秀雄の人生『論』」は直観を信じる人生哲学だ。

”批評の神様”の異名を持つ昭和を代表する批評家、小林秀雄 (1902年誕生。1983年没)。 今では当たり前となった(美術や音楽、文学など)何かの作品を”批評”するという行為…

小烏丸
2年前
43

ブログ更新が月イチになった理由。文字を書くことへの恐れと超克。

皆さん、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。 はい。という訳で2021年が終わり、2022年を迎えました。 本当に「やっと2022年になった」と…

小烏丸
2年前
2

日本は言語でできている。水村美苗 著「日本語が亡びるとき」が予見する近未来

突然だが私は古本屋巡りが大好きだ。もちろん普通の書店も好きなのだが、どうしても比較的新しい書籍に重きを置かれるため「古いけれども、今なお重要な本」に出会い辛いの…

小烏丸
2年前
4

AI確変で一発逆転を狙った文学部の妄想。波頭 亮著「文学部の逆襲」。

今回は私には珍しく辛口レビューをお届け。 その本がこちら 波頭 亮 (はとう りょう) 著「文学部の逆襲」 だ。 私は基本的に本を購入する時、できる限り「まえがき」「…

小烏丸
2年前
9

アートを知れば言語はもっと楽しくなる。不確実な時代に必要な「”ヴィジュアル”を読みとく技術」。

Youtube、Instagram、 TikTok・・・昨今話題となるメディアは動画や写真といったヴィジュアルに訴えるスタイルが主流だ。 だが、プロモーションコンテンツの制作に携わる…

小烏丸
2年前
3

デジタル化が呼び込む全体主義。堤未果 著「デジタル・ファシズム」。

前著『日本が売られる』で人気を馳せた国際ジャーナリスト、堤未果 (つつみ みか)氏。 国際ジャーナリストという肩書に相応しく、日本だけでなく海外 (特にアメリカ) の報…

小烏丸
2年前
6

しいたけ.推薦、マキャヴェッリ著「君主論」は運命に立ち向かう者への讃歌だ。

皆さんは「しいたけ.」という方をご存知だろうか? “占い師”というと聞こえは悪いかもしれないが、 私個人について言えば、普段占いなどは信じない・・・正確に言えば“自…

小烏丸
2年前
1

崩壊する文明の運命に立ち向かった男。ル・ボン著「群衆心理」

社会心理学の歴史的名著、ギュスターヴ・ル・ボン著「群衆心理」。 この本をご存知だろうか。 この本は著者のル・ボンがフランス革命の混乱の後に書いたもの。革命の最中…

小烏丸
2年前
13
自分の好きなことを仕事にするな

自分の好きなことを仕事にするな

早いもので2024年ももう3月。「も〜う、い〜くつ寝ると〜🎵」4月1日。そう新学期。
新学期と言えば楽しいことを期待してしまいそうですが、そうじゃない年頃の方もいらっしゃるでしょう。特に来年の就職に向けて就職活動をしている人にとっては。
先日まさに就活真っ最中の学生と話す機会があったのですが、その時に私が発した言葉にその学生は衝撃を受けていました。
私が言った一言とは
「好きなことを仕事にするの

もっとみる
高熱にうなされながら考えた言葉のチカラ

高熱にうなされながら考えた言葉のチカラ

約二年ぶりに一念発起してnoteを再開して3週目。早くもかつてないトラブルに見舞われる羽目になった。突如として39度越えの高熱に見舞われてしまったのだ。
発熱したのが三日前。体温計に表示された38度の数字を見て、「すわインフルエンザかコロナか?」と勇んで病院に駆け込んだが、どちらも陰性。医者から解熱剤を処方されるも、次の日には39.5度と尋常ではない高熱。
もしかして前日は検査を受けるのが早過ぎて

もっとみる
運命に立ち向かわなくてもいい。映画「夜明けのすべて」

運命に立ち向かわなくてもいい。映画「夜明けのすべて」

もう公開から一ヶ月も経ってしまいましたが、ようやく映画「夜明けのすべて」を観覧して来ました。上白石萌音と松村北斗が主演です。

映画の内容に関しては、もうかなりの人がレビューを上げてらっしゃいますので、ここでのご説明は軽〜く。

大企業に就職した勝ち組・藤沢美沙 (上白石萌音)と、外資系のキラキラした上場企業でキャリアを積む 山添孝俊 (松村北斗)が運命の出会いを果たす純愛ラブストーリー!
・・・

もっとみる
あなたには残すべきレガシーがあるか?

あなたには残すべきレガシーがあるか?


久しぶりに聞いた「レガシー」先日社内のとある会議で若手社員が「うちの会社には長きにわたって売れ続けるレガシーとなる商品が必要なんです!」と力強く主張していた。
若い人が元気なのは良いことなのだが、私がその時に考えていたのは
「レガシーって久しぶりに聞いたなぁ。なんで誰も言わなくなったんだろう?」
ということ。
東京オリンピックの前にやたらと耳にしたものの、その後すっかり聞かなくなってしまったこの

もっとみる
なぜ日本人は一生懸命働くのか? 山本七平「日本資本主義の精神」

なぜ日本人は一生懸命働くのか? 山本七平「日本資本主義の精神」

「日本人は勤勉だ。」
こう言われて否定する人はいない。
「日本人と言えば勤勉。勤勉と言えば日本人。」であり、「社畜」「ブラック企業」という言葉がはびこるのも、この日本人の勤勉さゆえと言っても過言ではないだろう。むしろそれだけ”奉仕する心”を持つことを誇りにさえ思っているのではないだろうか。
では、ここでさらに一つ質問したい。
「日本人はなぜ勤勉なのか?」。
この質問に答えられる人は少ないのではない

もっとみる
宿命に立ち向かう人間の美しさを描く、NHKドラマ「カムカムエブリバディ」。

宿命に立ち向かう人間の美しさを描く、NHKドラマ「カムカムエブリバディ」。

自他ともに認める”三度の飯より読書好き”の私が珍しくNHKの連続ドラマ「カムカムエブリバディ」を毎日観ている。我ながら驚くべき事実である(笑)。
今作の特徴は何と言っても主人公が祖母、母、孫と3人が交代して、昭和初期〜平成という長く濃密な時代を描くという点にあるだろう。

正直なところ、私は最近までこの作品のテーマは
・NHKが自社のラジオ英会話番組を宣伝すること
・日本政府が進める英語教育の援護

もっとみる
アインシュタインはなぜバイオリンを弾いたのか?脳と音楽の不思議な関係

アインシュタインはなぜバイオリンを弾いたのか?脳と音楽の不思議な関係

世界中の誰もが知る物理学の天才アルバート・アインシュタイン。
だが、彼がヴァイオリンの名手だったことを知る人は意外と少ない。アインシュタインはバッハやモーツァルトなどのいわゆる”クラシック音楽”を非常に好み、ヴァイオリンの演奏もかなりの技術だったという。

また彼の妻 (工科大学でアインシュタインと同級生だった) もピアノが堪能で二人で演奏を行うこともあった上、その息子もまた幼少期よりピアノに親し

もっとみる
覇権戦争からは誰も逃れられない。荒れ狂う世界を知る上で必読の書、中野剛志「変異する資本主義」。

覇権戦争からは誰も逃れられない。荒れ狂う世界を知る上で必読の書、中野剛志「変異する資本主義」。

経済産業省の現役官僚であり、評論家でもある中野剛志。

この人の放つマジックはいつも私を困らせる。

そのマジックとは、どんな本でも「タイトル」「目次」「まえがき」「あとがき」をチェックしてから買う私だが、”中野剛志”という名前が書いてあれば、自分でも気づかない内に購入させてしまうのである(笑)。

おかしい。

なぜこのような奇怪な現象が起きるのだろうか・・・。

自問自答になるが答えは分かりき

もっとみる
”批評の神様”「小林秀雄の人生『論』」は直観を信じる人生哲学だ。

”批評の神様”「小林秀雄の人生『論』」は直観を信じる人生哲学だ。

”批評の神様”の異名を持つ昭和を代表する批評家、小林秀雄 (1902年誕生。1983年没)。
今では当たり前となった(美術や音楽、文学など)何かの作品を”批評”するという行為を、日本語による近代的スタイルとして確立した人物である。文学に多少なりとも興味がある人であれば、その名を知らぬものはいない。
だが、それほど有名でありながらも、小林自身の評論を通読した人は少ない。なぜなら、小林の批評は非常に難

もっとみる
ブログ更新が月イチになった理由。文字を書くことへの恐れと超克。

ブログ更新が月イチになった理由。文字を書くことへの恐れと超克。

皆さん、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

はい。という訳で2021年が終わり、2022年を迎えました。

本当に「やっと2022年になった」というのが私の率直な気持ちです。

個人的な話で恐縮ですが、2021年は本当に辛い一年でした。45歳を超えたので”みんなそんなもんだよ”と言われるかもしれませんが、初頭から年末までずっと体調を崩しがち。体調不良に弄ばれ、仕事も

もっとみる
日本は言語でできている。水村美苗 著「日本語が亡びるとき」が予見する近未来

日本は言語でできている。水村美苗 著「日本語が亡びるとき」が予見する近未来

突然だが私は古本屋巡りが大好きだ。もちろん普通の書店も好きなのだが、どうしても比較的新しい書籍に重きを置かれるため「古いけれども、今なお重要な本」に出会い辛いのだ。私にとって古本屋はそのような書店の弱点を補うのに格好の場所であるのだが、またまた運命的な出会いをした名著を発見した。

その本が今回紹介するこちらの本

水村美苗 著「日本語が亡びるとき」

だ。

本書が上梓されたのは2008年。今か

もっとみる
AI確変で一発逆転を狙った文学部の妄想。波頭 亮著「文学部の逆襲」。

AI確変で一発逆転を狙った文学部の妄想。波頭 亮著「文学部の逆襲」。

今回は私には珍しく辛口レビューをお届け。

その本がこちら

波頭 亮 (はとう りょう) 著「文学部の逆襲」

だ。

私は基本的に本を購入する時、できる限り「まえがき」「あとがき」「目次」などをよく読んで、内容を精査するようにしている。そのお陰で購入した後に「これは外れた」と思う確率は低いのだが…、今回は久々の「大外れ」。レビューを書くのも止めておこうと思っていた。

しかし、よくよく読むと、

もっとみる
アートを知れば言語はもっと楽しくなる。不確実な時代に必要な「”ヴィジュアル”を読みとく技術」。

アートを知れば言語はもっと楽しくなる。不確実な時代に必要な「”ヴィジュアル”を読みとく技術」。

Youtube、Instagram、 TikTok・・・昨今話題となるメディアは動画や写真といったヴィジュアルに訴えるスタイルが主流だ。

だが、プロモーションコンテンツの制作に携わる中で日々感じるのは、「むしろ言葉の重要性が高まっているのではないか」ということだ。

それは消費者に「文章で表現することが重要」という意味だけではない (それはもちろん重要なのだが)。むしろそもそものヴィジュアルを作

もっとみる
デジタル化が呼び込む全体主義。堤未果 著「デジタル・ファシズム」。

デジタル化が呼び込む全体主義。堤未果 著「デジタル・ファシズム」。

前著『日本が売られる』で人気を馳せた国際ジャーナリスト、堤未果 (つつみ みか)氏。

国際ジャーナリストという肩書に相応しく、日本だけでなく海外 (特にアメリカ) の報道資料、官公資料に基づいたジャーナリスティックな著作が多い。

今回は彼女の新刊『デジタル・ファシズム』をご紹介。

本書の要点堤氏の著作は日本で普通にメディアに接しているだけでは知りにくい貴重な情報提供してくれるのが特徴。その出

もっとみる
しいたけ.推薦、マキャヴェッリ著「君主論」は運命に立ち向かう者への讃歌だ。

しいたけ.推薦、マキャヴェッリ著「君主論」は運命に立ち向かう者への讃歌だ。

皆さんは「しいたけ.」という方をご存知だろうか?
“占い師”というと聞こえは悪いかもしれないが、
私個人について言えば、普段占いなどは信じない・・・正確に言えば“自分に都合が良いところだけ参考にする”スタイルだが、このしいたけ.氏の占いはそれぞれの星座の人物評のような面があり、それが非常を的を射ており、かなり興味深い。
そのしいたけ.氏が、ある雑誌の記事の中で古典的名著について触れていることがあっ

もっとみる
崩壊する文明の運命に立ち向かった男。ル・ボン著「群衆心理」

崩壊する文明の運命に立ち向かった男。ル・ボン著「群衆心理」

社会心理学の歴史的名著、ギュスターヴ・ル・ボン著「群衆心理」。

この本をご存知だろうか。

この本は著者のル・ボンがフランス革命の混乱の後に書いたもの。革命の最中、民衆が”群衆”と化し、社会に破壊と殺戮の嵐を招いた激動の様子を観察し、その群衆がなぜそのような行動を取ったのかを社会心理学的な観点から分析したものだ。

当時は群衆を研究対象とした本はほとんどないどころか、そもそも"群衆"に特別な意味

もっとみる