- 運営しているクリエイター
記事一覧
第15章 運命の女神−2
Vol.2 仙石原
シヴァ:教祖は、あなたに興味を持っています。
セレン:なぜ?
シヴァ:あなたは、我々には向かい、降り注ぐ不幸の豪雨を前にしても、我々に牙を向けてきた。その、行動力に。その執念は、教祖の心すらも動かしているということですよ。
セレン:教祖の心を動かしても僕には何の嬉しさもない。
シヴァ:まあまあ、そう言わずに。我々からすれば、素晴らしいことです。我々が教祖の心を動かすこ
第十五章 運命の女神-1
Vol.1
「私が貴方と初めて出会ったのは小学生の時。多分覚えてないと思う。」
黒奈は、僕の方を見ていった。僕は黒奈の言う通り、何も覚えてはいない。黒奈と出会ったのは大学生に入学してからだったからだ。
「あれは、私が九州に空手の遠征に行った時。鹿児島県の鹿屋という場所にあるバラ園に行くことになったの。バラなんてあの頃の私には興味はなかったけど、両親はせっかくの九州ということではしゃいでいたわ。私
第十一章 恩讐の彼此
Vol. replay evil with evil
部屋に戻ると、妹がソファーに寝転んでテレビを見ていた。テレビでは年末番組が放送されており、もう今年が終わるのだと僕に告げているようだった。時刻は、午後10時ー。寝るにはまだ少し早い気がした。かといって、何か特段したいこともない。年末番組を見るほど退屈なこともないわけだし。僕は、自分の部屋だった場所に置いたリュックから本を取り出し、読むことに
第10章 From The Old World
Vol.1
おっと。僕はあまりに読書に集中しており、新幹線の時間はもうわずかというところまでになっていた。僕は、慌てて本を閉じ、会計を済ませてカフェを後に新幹線のホームへと急いだ。駅のホームはそこそこ混んでおり、人を避けながら改札を抜けた。駅のホームへ階段を駆け上がると息が白くなっていた。鼻がツーンとするような寒さが身体をおそう。ふと空を見上げると雪がちらついていた。どおりで寒いわけだ。骨の芯ま
第9章 silent melon−2
Vol.2
青山さんは、未来との話を終えた。彼の顔はどこか清々しさまで感じていた。まあそうだろう。ある意味復讐というものは達成されているようなものだから。僕は、青山さんが意気揚々とお店を後にしていく姿を無言で見つめていた。
「セレンくん。この花束のラッピングなんだけど、いつも通りお願いしてもいいかな。」
「ー。」
「セレンくん。起きてる。」
翠さんが何度か僕の名前を呼んでいたらしい。僕は全
第9章 silent melon−1
Vol.1
羚羊さんからの返事は予想よりも早かった。僕は、数週間はかかるだろうと思っていたが、3日後には連絡が来た。送られてきたメールには、これから数ヶ月に渡ってブルーガーデンの闇を暴露する特集が組まれるということだった。初版は九月の最終週の金曜日。まずは、不倫疑惑のかかっている政治家が実はブルーガーデンの信者であるということを報道するものだった。小さい記事だが、まずは、つかみとして世間で取り扱