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Seasons of Love 日本、アメリカ、そして世界

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社会のこと、世界のことについて、徒然なるままに語ります。
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#アメリカ

タイタニックと教室の片隅の小さな私

タイタニックと教室の片隅の小さな私

25年前に大ヒットした映画「タイタニック」のリマスター版を観てきた。
映画の懐かしい映像に触発されて、25年前の自分がどこで何をしていたのか鮮明に思い出すことができた。この映画が公開された1997年、一緒に映画館に足を運んだ当時の友達とは、今は誰一人連絡先も分からず、どこで何をしているのかも知らない。現在の私の親友たちとはもう長いつきあいだが、1997年の頃はまだ知り合ってさえいなかった。そう考え

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ハンバーガーには抗えない

ハンバーガーには抗えない

最近、夢中になっているTik Tokのチャンネルがある。アメリカ留学中の大学生の女の子が、現地の食べ物を次々に食べては紹介してくれる食レポ投稿だ。大学の学食から始まり、ファーストフードに、まあまあ良いレストラン。スーパーの総菜コーナーに、大学で無料で配られるちょっとしたスナック菓子まで、彼女の食レポは網羅する範囲が広くてとても面白い。私にとっては懐かしいアメリカの大学のキャンパスを背景に、そこで生

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ロンリープラネット、出版しました!

ロンリープラネット、出版しました!

電子書籍だからこそできる表現があります。 アメリカ西海岸の町、サンフランシスコを舞台にした小説「ロンリー・プラネット」を刊行しました。ITバブルとウクライナ戦争の影響で地価と物価の高騰が止まらないサンフランシスコで、アートに魅せられ、アートに生きることを選んだ熱い男たちの物語です。「現代において、アーティストは社会の最下層」であるという厳しい現実にもがきながらも、アートを通じて多様な人種・国籍の異

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世界はイズムであふれている

世界はイズムであふれている

小説「ロンリー・プラネット」販売開始しました!
昨日、編集長から写真が送られてきました。私の原稿の校正作業の風景です。兵庫県にある小さなひとり出版社、白兎舎。はくとしゃ、と読みます。立ち上げたばかりの新しい出版社です。

私はこの会社から2冊目の小説を、単行本だったデビュー作とは趣向を変えて、電子書籍という形で出すことに決めました。タイトルは「ロンリー・プラネット」。アメリカはサンフランシスコを舞

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祖父はコックとして真珠湾攻撃に行った

祖父はコックとして真珠湾攻撃に行った

パールハーバーから今年で80年になると、先日のニュースが伝えていた。報道ステーションとnews zeroでは、生き証人とも言える御年103歳の元軍人、吉岡政光さんがテレビのインタビューに答えていらした。「人がそこにいると分かっていたら攻撃などしなかった。わたしたちは、ただ命令に従うしかなかった。ハワイにはあれ以来一度も行ってない」など、胸を締めつけられるような言葉が胸に響いた。

2400人以上も

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読者歴21年目の節目

読者歴21年目の節目

先日、漫画家の小林よしのりさんに拙著「おもてなし2051」を献本しました。

「ゴーマニズム宣言」で知られる小林よしのりさんの読者を続けて、はや20年になります。20年という数字に何か自分の人生の節目のようなものを感じたので、読者を始めた原点を振り返り、noteに綴ることにしました。20年前の自分が今に繋がっていることを思うと、色々と込み上げてくるものがあります。しばらく昔話におつきあい下さい。

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小林よしのりは、アメリカ人からどう見られているのか?

小林よしのりは、アメリカ人からどう見られているのか?

「よしりん先生」の愛称で知られる小林よしのりさんは、鋭い政治風刺とユーモアあふれる作風の漫画を長きにわたって描き続けていらっしゃいます。作品の中で小林さんはアメリカを批判し、アメリカに追従する日本政府を糾弾してこられました。その高いメッセージ性は時に読者の反感を買い、論争が巻き起こることも度々ありました。そんな小林さんの漫画をアメリカ人はどのように見ているのでしょうか? アメリカの人々の目から見て

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アジア人、コロナ、この国から出て行け!

アジア人、コロナ、この国から出て行け!

お笑い芸人の村本大輔さんが、ニューヨークの深夜の路上で罵倒されたというツイートが話題になっている。「アジア人、コロナ! この国から出て行け!」と叫ばれたそうだ。ヘイトを発したのは車椅子に乗ったお婆さんだという。村本さんのこのツイートに対して、私は以下のようなリプライをした。

「アメリカの障碍者は強いんですね。自分が車椅子に乗っていても他人を差別までする。日本の障碍者みたいに、ただただおとなしくす

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キャンピングカーで暮らす学生たち

キャンピングカーで暮らす学生たち

アメリカの最新貧困事情私の母校が大変なことになっている。先日、大学時代の先輩からライン動画が送られてきた。そこに映っていたのは、私たちの母校の大学の裏道にびっしりと停まるキャンピングカーの風景。一見すると、大学が何かのイベントでも開催して、父兄たちがはるばる遠くの州からやってきたのかと見紛うような光景でもあるが、そうではない。路肩にびっしり横付けされたままのキャンピングカーの中では、学生たちが寝泊

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今日は911の日

もう忘れているかもしれないが、2001年の今日、ニューヨークとワシントンDCで同時多発テロ事件が起きた。

あれからずいぶん長い年月が経ち、メモリアル・デイの今日であっても日本のメディアはほとんど報道しなくなった。現地アメリカでも911を知らない若い世代が生まれている。

けれど私は毎年、今日がくるたびに、改めて当時を振り返り、自分の原点を見つめることにしている。

そう。911は私の生きる原点な

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アメリカのゴミ屋敷を知っていますか?

アメリカのゴミ屋敷を知っていますか?

日本でもお馴染みの「こんまり」こと、近藤麻理恵さんが、今アメリカで大ブームになっている。著作はもちろん、彼女の「片付けの魔法」はアメリカのバラエティー番組でも大々的に取り上げられて、むこうで単独のネット番組まで作られた。

でも、そもそも家が広いアメリカで、そんなに片付けに困っている人なんかいるの?という疑問が日本ではよく聞かれる。日本は家が狭いから片付けに困るのであって、アメリカン・サイズの家な

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お酒にまつわる私のトラウマについて

お酒にまつわる私のトラウマについて

お酒を飲んでいる人を見るのが、私は苦手だ。

こんなことを言うと、たいていの人は私のことを変だと言う。その通りだと自分でも思う。お酒が飲めない人はいるし、お酒が嫌いという人もいる。

私はお酒は好きだけれど、誰かと一緒には飲まない。なぜなら、人がお酒を飲んでいる姿を見ると、心がざわざわして不安に駆られるからなのだ。

理由はきっとトラウマのせいだろう。今まで私は多くの大切な人たちの人生をお酒が奪っ

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2011年3月11日、7年前のあの震災の頃、私は難民になることを薦められた。

2011年3月11日、7年前のあの震災の頃、私は難民になることを薦められた。

今年も3月が終わろうとしている。東日本大震災から早くも7年が過ぎたが、7年が過ぎた今だからこそ、じっくり振り返ることができる物事もある。私はあの震災当時のことを、初めて綴ることにした。

2011年3月12日。フランス人の友人から震災難民としてフランスに逃げて来いと言われた。地震から一夜明けてようやく繋がったネットを開くと、海外の友人からのメールが殺到していた。「日本はどうなっているの?」「あなた

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