たゆたふ

東京の真ん中くらいにいます。読書、おしごと、日々の戯言など。

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記事一覧

「生きていて、愛を知らない者を哀れみなさい」〜ハリーポッターやっと読了

2023年は、ここ5年で最も小説を読んだ年になりました。10数年振りに出会えた「昔日の客」もしかり。 でも2023年におけるわたしの一大読書トピックは、あのハリーポッター…

たゆたふ
4か月前
6

「昔日の客」を読んで、在りし日のぬくもりを感じる

もう15年近く前になるのか。 独特な雰囲気をまとってた同期入社の彼女は、読む本のチョイスもどこか趣があって、たいていは私の知らない本ばかり読んでいた。 でもその緑色…

たゆたふ
5か月前
3

みちのく浄土の旅

ひさびさにひとり旅をしてきた。 今度ひとり旅をするなら東北、と漠然と決めていて、漠然と平泉は行ってみたい…と思っていた。 あとは、近くの花巻(宮澤賢治の町だよね…

たゆたふ
7か月前
4

香の色もまた、うつりにけり

20代の頃、好きだった香水の香り。ブルガリ オムニア アメジスト。 清楚でさわやかな香りで、ふわふわスカートをはいた女の子というよりは、 ボトルカラーの紫色のように…

たゆたふ
9か月前
1

矛盾のなかに旨味が宿る〜蜜蜂と遠雷〜

春先から採用の仕事をしているのだけど、人をジャッジしてバッサバサ斬っていく要素に、摩耗する感覚が続いている。 おそらく人の可能性をいっときの判断で断ち切ることに…

たゆたふ
10か月前
4

スキーでリスキリング

10年ぶりにスキーをしました。 きっと身体が覚えてる、と楽観的に構えてたのですが、スポーツにおいて10年の歳月を舐めてはいけない。 アレ?コンナハズデハナカッタハズ …

たゆたふ
1年前
3

生き残った者たちへの鎮魂歌~すずめの戸締り~

途中までは、よくあるストーリーだなと思ったはずだった。 日本神話をモチーフにしたオーソドックスなストーリー展開。退屈ではないけど、友人たちがいうような「号泣」レ…

たゆたふ
1年前
2

課題解決に向き合う姿勢が信頼を呼ぶ〜営業担当者からの学び

人事の研修担当になってからずっとずっとやりたかった、今後の会社の変化を見すえた期待成果・行動や、人事制度で求められる要件から導き出した研修メニュー設計。 単に従…

たゆたふ
1年前
9

棒ノ折山は下りがすごかった

初級者向けとも中級者向けともカテゴライズされる棒ノ折山。 高校時代の友達から10年ぶりに連絡を受けて12月半ばの平日に登ってきました。 (10年ぶりの再会が山ってすごい…

たゆたふ
1年前
2

「伝え方が9割」って、ほんとそれ。

好ましくない現象が起きた場合、あなたならどうやって伝えますか? 単純にまずかった点を羅列して指摘するパターンと、 こういう点は良かったね。 こういう点を意識した…

たゆたふ
1年前
3

感知力×語彙力の相乗効果

ちょーすごい、ちょームカつくなど、ちょー☓☓を多用していた中学生の頃、父はこう言ってたしなめました。 「同じ言葉ばかり使ってると、だんだんその言葉しか使えなくな…

たゆたふ
1年前
3

解釈の主人公は誰のもの?〜ゲルハルト・リヒター展〜

ゲルハルト・リヒター展に行ってきました。 電車の中吊り広告で目にしてから、絶対行こうと思っていた企画展。 平日休みをとり朝イチで行ったのに、大盛況でした。 展示は…

たゆたふ
1年前
7

いつまでも若々しいままでいるために

社内研修を受講した時のこと。 冒頭の自己紹介で「最近うれしかったこと」を発表するというお題があった。 もう本当に最近は仕事しかしてない日々で、「ウレシカッタコト…

たゆたふ
1年前
3

「ずるい」と言われて、胸のすく思いをした夜

久しぶりに、アニキとごはんを食べに行った。 アニキとは5年くらいの付き合いで、博識で勉強家の彼と話すと本当に知見が広がるし、淀んでいる思考がどんどん整理されてい…

たゆたふ
1年前
1

購入3か月目でスマホが壊れた

携帯を使い始めて●十年。初めて初期不良に出くわしました。自分の備忘録もかねて記していきます。 機種変更にあたって3年半ほど使い続けたXperia XZ3。なんとなくバッテ…

たゆたふ
1年前
1

期待されることがしんどくてしかたない

この度、7月1日付で昇格することになりました。 「おめでとう!亅 「頑張りが認められて良かったね!」 「これからも期待してるよ!(次はぜひ管理職を目指してね)」 …

たゆたふ
1年前
8
「生きていて、愛を知らない者を哀れみなさい」〜ハリーポッターやっと読了

「生きていて、愛を知らない者を哀れみなさい」〜ハリーポッターやっと読了

2023年は、ここ5年で最も小説を読んだ年になりました。10数年振りに出会えた「昔日の客」もしかり。

でも2023年におけるわたしの一大読書トピックは、あのハリーポッターシリーズをようやく読み終えたことでした。

なぜこんなに時間かかったかというと、すらすら読めやしないのに英語で読んでいたから。それでも最終巻の6巻までは頑張って読み進めていましたが、7巻の冒頭でとん挫。そのうち読もう読もうと思っ

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「昔日の客」を読んで、在りし日のぬくもりを感じる

「昔日の客」を読んで、在りし日のぬくもりを感じる

もう15年近く前になるのか。
独特な雰囲気をまとってた同期入社の彼女は、読む本のチョイスもどこか趣があって、たいていは私の知らない本ばかり読んでいた。
でもその緑色の表紙の美しい本は私も知っていた。

吉祥寺にある通好みの出版社から出された本。いっときオサレなカルチャー誌で話題になっていて、そんなオサレな本を知っているという得意げな自惚れと、でもきっと通すぎてなじめないだろうという悪い予感が混じり

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みちのく浄土の旅

みちのく浄土の旅

ひさびさにひとり旅をしてきた。

今度ひとり旅をするなら東北、と漠然と決めていて、漠然と平泉は行ってみたい…と思っていた。
あとは、近くの花巻(宮澤賢治の町だよね)、遠野(ものすっごい田舎に違いない)、できたら盛岡(直近で一番地価のあがった街とはどんな様子か)にでも行くか、というふんわりした旅。

ふんわりした旅ながら、今回の旅のテーマは”浄土”だったなと思う。
東北の歴史や土地について知らないこ

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香の色もまた、うつりにけり

香の色もまた、うつりにけり

20代の頃、好きだった香水の香り。ブルガリ オムニア アメジスト。

清楚でさわやかな香りで、ふわふわスカートをはいた女の子というよりは、
ボトルカラーの紫色のように、白いシャツに細身のパンツの上品な知的お姉さんってイメージ。20代後半だったわたしには、少し背伸びして高貴な気分にさせてくれる好きな香りだった。

この香りなら流行り廃りもなく、いつ嗅いでもイイ香りだろう。
そんなわけで買うのはいつで

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矛盾のなかに旨味が宿る〜蜜蜂と遠雷〜

矛盾のなかに旨味が宿る〜蜜蜂と遠雷〜

春先から採用の仕事をしているのだけど、人をジャッジしてバッサバサ斬っていく要素に、摩耗する感覚が続いている。
おそらく人の可能性をいっときの判断で断ち切ることにストレスを感じているのだと思う。

そんなわけでなにかを埋めるように、この2か月間意識的に小説に手を伸ばすようになった。
奇しくも、立て続けに読んだ小説が生きづらさや痛みを扱った内容ばかりだった。「枠から外れる」生きづらさや痛みという共通点

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スキーでリスキリング

スキーでリスキリング

10年ぶりにスキーをしました。
きっと身体が覚えてる、と楽観的に構えてたのですが、スポーツにおいて10年の歳月を舐めてはいけない。

アレ?コンナハズデハナカッタハズ
のオンパレードを味わうことになりました。

滑った瞬間、腰の可動域が十年前よりせますぎと気づく

転んでも立ち上がれない。とにかく立ち上がれなくて、わたしは生まれたての子鹿

後ろに身体の重心が傾き、バランス崩す

ゆえに弱って

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生き残った者たちへの鎮魂歌~すずめの戸締り~

生き残った者たちへの鎮魂歌~すずめの戸締り~

途中までは、よくあるストーリーだなと思ったはずだった。
日本神話をモチーフにしたオーソドックスなストーリー展開。退屈ではないけど、友人たちがいうような「号泣」レベルには程遠い。

ところが結局、理屈じゃなく、もうなんか突き動かされるように泣いてた。

いつものように冷静でいよう理性的でいようと、思考をめぐらすことも諦めた。
抗うのをあきらめて、衝動の波に委ねたまま、ただただ涙を垂れ流してた。

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課題解決に向き合う姿勢が信頼を呼ぶ〜営業担当者からの学び

課題解決に向き合う姿勢が信頼を呼ぶ〜営業担当者からの学び

人事の研修担当になってからずっとずっとやりたかった、今後の会社の変化を見すえた期待成果・行動や、人事制度で求められる要件から導き出した研修メニュー設計。

単に従業員満足度の高い研修をするのでなく、真に経営に資する人材育成方針。

研修を単発で行うのではなく、現場での実践と、その評価の場をプロセス設計してつながりを持たせること。

大まかなイメージはあるものの、自分の覚悟の弱さや力不足で、上司や経

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棒ノ折山は下りがすごかった

棒ノ折山は下りがすごかった

初級者向けとも中級者向けともカテゴライズされる棒ノ折山。
高校時代の友達から10年ぶりに連絡を受けて12月半ばの平日に登ってきました。
(10年ぶりの再会が山ってすごい)

西武池袋線の飯能駅からバスで40分ほど。終点ノーラ名栗・さわらびの湯で降りて歩いて名栗湖を目指します。30分ほど歩いて登山口に到着。
今回は登りは沢登りや鎖を楽しむ白谷沢コース、帰りは滝ノ平尾根を下ります。

黒い物体の蠢きに

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「伝え方が9割」って、ほんとそれ。

「伝え方が9割」って、ほんとそれ。

好ましくない現象が起きた場合、あなたならどうやって伝えますか?

単純にまずかった点を羅列して指摘するパターンと、

こういう点は良かったね。
こういう点を意識したり改善すると、もっと良くなるよ。

とプラス方向のフィードバックをするのでは、

その時の心象はもちろんのこと、その後の取り組みが大いに変わるんだけどな~。

と、宛先に課メンバーが全員入ってるメールで、わたしが同じ課の大先輩(元管理職

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感知力×語彙力の相乗効果

感知力×語彙力の相乗効果

ちょーすごい、ちょームカつくなど、ちょー☓☓を多用していた中学生の頃、父はこう言ってたしなめました。

「同じ言葉ばかり使ってると、だんだんその言葉しか使えなくなって薄っぺらくなる」

思春期真っ只中でしたが、この言葉には不思議と反発心がなく、素直に聞き入れたことを覚えています。

いまふたたび、NVCの学びや、信頼できる仲間との対話を通して、表現の広がりにはボキャブラリーが大いに関わることを再認

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解釈の主人公は誰のもの?〜ゲルハルト・リヒター展〜

解釈の主人公は誰のもの?〜ゲルハルト・リヒター展〜

ゲルハルト・リヒター展に行ってきました。
電車の中吊り広告で目にしてから、絶対行こうと思っていた企画展。
平日休みをとり朝イチで行ったのに、大盛況でした。

展示はなかなかユニークで、展覧会によくあるテーマの章立てや順路がなく、気の赴くまま自由に見てちょうだい、というスタイル。
今回の企画展にあたり企画構成にリヒターも携わっていたらしく、リヒターの多様な表現スタイルもあいまって、自由で気楽な感じが

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いつまでも若々しいままでいるために

いつまでも若々しいままでいるために

社内研修を受講した時のこと。
冒頭の自己紹介で「最近うれしかったこと」を発表するというお題があった。

もう本当に最近は仕事しかしてない日々で、「ウレシカッタコトッテ ナンデスカ ナンデシタッケ アリマシタッケ」と棒読みでわが脳みそに指令を出すわたし。

絞り出したのは結局仕事の話で、まぁ仕事でも全然いいんだけどさ、無理やりウレシカッタコトにしたムリやり感をぬぐえず、ちょっとした敗北感を味わった。

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「ずるい」と言われて、胸のすく思いをした夜

「ずるい」と言われて、胸のすく思いをした夜

久しぶりに、アニキとごはんを食べに行った。

アニキとは5年くらいの付き合いで、博識で勉強家の彼と話すと本当に知見が広がるし、淀んでいる思考がどんどん整理されていく。加えて博識な人にありがちな押し付けがましさや上から目線の自己顕示欲もなく、とてもフラットに会話と議論を楽しめる貴重な存在。さながら孔子と弟子みたい。

そんなアニキに最近昇格したこと、昇格とは裏腹な満たされない思い(というか不満)をと

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購入3か月目でスマホが壊れた

購入3か月目でスマホが壊れた

携帯を使い始めて●十年。初めて初期不良に出くわしました。自分の備忘録もかねて記していきます。

機種変更にあたって3年半ほど使い続けたXperia XZ3。なんとなくバッテリーが持たなくなり動作ももっさりして、気分一新したかったこともあり、4月に機種変更することにしました。

機種変更の条件は2つ。ひとつは2台続けて利用していたXperiaより低額の端末にすること、もうひとつはauからpovoに切

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期待されることがしんどくてしかたない

期待されることがしんどくてしかたない

この度、7月1日付で昇格することになりました。

「おめでとう!亅
「頑張りが認められて良かったね!」
「これからも期待してるよ!(次はぜひ管理職を目指してね)」

と、一通りのお祝いや激励の言葉をいただいたのですが、(そりゃ喜ばしく祝福される出来事だよね、と理解はできるけど)素直に受け取れない。

というか、苦しい。逃げたい。この枠組みから。

最初に昇格の話をいただいた3月末の時点でも、認めら

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