記事一覧
『ラカンと哲学者たち』で愛の構造を知る
工藤顕太『ラカンと哲学者たち』亜紀書房 2022年 前稿はこちら。 https://note.com/preview/nd2ee2eb6aaff 今回は第3部、プラトンの『饗宴』から。ソクラテスたちが語る…
『アフターダーク』移動する視点と膜
村上春樹『アフターダーク』講談社 2004年
主人公はマリ、19歳。姉のエリはほぼ一日中深い眠りについたまま。姉のことが気になって眠れない夜、マリはファミレスで深夜を過ごす。高橋に声をかけられ、そのつながりでラブホで働く人たちと知り合う。合間を置いて、エリの眠りの描写。午後11時56分から午前6時52分過ぎまでの物語。
私たち読者の視点が、俯瞰的に語られる。いわゆるメタフィクション、メタ認知(
『水中の哲学者たち』の息継ぎを見る
永井玲衣『水中の哲学者たち』晶文社 2021年
対話イベントを通して老若男女と哲学的な話し合いをしている著者が、その経験を振り返りつつ、戸惑いやひらめきや苦心、発見を繰り返すエッセイ。ドラマの水戸黄門的構造がある。
溺れてはいない
著者の活動の一つが、哲学の対話を通して共に悩み考えるというもの。本書ではあたふたしたりボンヤリ思い沈む様子がうかがえるが、じっさいご本人は予備校講師もしておられ、