養老まにあっくす

養老孟司先生公認(本当)の養老マニアです。養老節の好きな方に刺さるように書いています。…

養老まにあっくす

養老孟司先生公認(本当)の養老マニアです。養老節の好きな方に刺さるように書いています。「いいね」を押すとおみくじ引けます。

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    海は危険がいっぱい

    映画「JAWS」のポスターを見て、「何かに似てるな…」と思って作りました。 猫つかみ(保定)でパシャパシャ撮りまくりました。 ジョン君いい迷惑だったね(笑) メーカー:UnitedAthle 素材:ポリエステル 生地の重さ:4.1oz 印刷面:両面 印刷方式:昇華プリント サイズ 身丈 身巾 肩巾 袖丈 S 65 48 45 20 M 68 51 47 21 L 71 54 49 22 XL 74 57 51 23 ※サンプル画像は完成イメージのため、実物と異なる場合があります。 ※この商品はpixivFACTORYで製作します。メーカーから直接商品が届きます。 ※受注してから1枚ずつプリントするため、お届けまでに14日〜18日ほどかかる場合があります。
    5,000円
    (ぬ)ぬん三郎本舗
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    フェレットを飼う理由

    SNSで"Why you should have a cat"というのを見て、そのフェレット版を考えてみました。 小さい文字の部分はThe Beatlsのあの曲のパロディです。 週に8日寝ても足りない! メーカー:Printstar 素材:綿100% 生地の重さ:190g/m2(5.6oz) 糸の太さ:17/- 織り:天竺 カラー:ホワイト サイズ 身丈 身巾 肩巾 袖丈 S 66 49 44 19 M 70 52 47 20 L 74 55 50 22 XL 78 58 53 24 ※サンプル画像は完成イメージのため、実物と異なる場合があります。 ※この商品はpixivFACTORYで製作します。メーカーから直接商品が届きます。 ※受注してから1枚ずつプリントするため、お届けまでに14日〜18日ほどかかる場合があります。
    2,500円
    (ぬ)ぬん三郎本舗

記事一覧

昆虫標本事始め

数年前から、ヴェランダにやってくる昆虫を捕まえて標本にしている。自分から出かけて行って採るほど熱心ではないが、身の回りにどんな虫が棲んでいるかくらい、自分で調べ…

読書できない現代人の「プチうつ病」

【書評】『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆=著/集英社新書 𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  本を読むために会社を辞めた。そう著者は言う。  よっぽど…

必要だからやる。それが仕事

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  養老先生が若い頃、つまりまだ東大で教えておられた頃、必要な設備を私費で購入して研究していた。そういうエピソードがある。これは美談だ…

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養老孟司とイギリスの田園都市

「考える人」は、2002年に新潮社が肝入りで創刊した文芸雑誌。年4回とはいえ値段は1,400円とお安くないが、執筆陣の顔ぶれが凄まじく、充実のボリュームとなっている。なか…

私たちは何のために働いているのだろう

 戦後ドイツの文学にはKurzgeschichteと呼ばれるジャンルがある。これは日本語に訳せば「短篇」「ショートストーリー」としか言いようがないのだが、本当に2〜3頁しかない…

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ファンタジーに託す

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  私の書斎には一首の歌が飾ってあります。大学のときの恩師が詠まれた歌で、筆書していただいたものを額に入れて掛けています。こんな歌です…

意識のはたらきと、変わらない自分

ジャケットは、ロンドンの自然史博物館で本を眺める養老先生。先生は昆虫の標本を調べるために、よくこの場所を訪れるという。 養老先生の講演CDは、筆者が知るかぎりで6枚…

猫の営業部長、養老まる

愛猫まるを抱っこする養老先生が表紙のこの本。猫好きには言わずと知れた猫雑誌「猫びより」の人気連載、著名人たちとその猫のインタビューを単行本化したものだ。 撮影当…

自由意志は存在するか

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  脳科学の分野ではもはや定説になりつつあるらしいのだが、自由意志というものはどうやらわれわれの幻想のようだ。少なくとも、従来考えられ…

客観性は「真理」か

【書評】『客観性の落とし穴』村上靖彦=著/ちくまプリマー新書 𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  毎日スーツを着てパンプスを履いて仕事に行くことがどうしても無理──そ…

不登校の現在地

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  2024年1月28日、桶川市の桶川市民ホールにて「子どもの教育を考えるシンポジウム」が開かれた。登壇したのは桶川のフリースクールHIRO代…

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小説家にとっての実在

【書評】『うるさいこの音の全部』高瀬隼子=著/文藝春秋 𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  だまされた。もちろん、いい意味で。  会社勤めをしながら小説を書いていた主…

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私の勉強法

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  「字が汚い人ほど勉強ができる。」そういう俗説がある。アインシュタインもスティーブ・ジョブズも字が汚かった。真偽のほどは定かでないが…

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『君たちはどう生きるか』を、僕たちはどう読むか

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  白状すると、僕はこの本に不当な先入観を持っていた。しかし、それには歴とした理由がある。ご存知のように、岩波文庫はジャンルごとに色分…

10

タバコ休憩は妥当か

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  このエッセイをお読みの方はもうお気づきかと思うが、私は喫煙者である。ただし、ヘビースモーカーではない。1日に吸うのは7〜8本。出かけ…

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ほろ苦い青春ソーダの味

【書評】『海がきこえる』〈新装版〉氷室冴子=著/徳間文庫 𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす  ジブリのアニメで有名な作品だが、じつは原作もいい。いや、原作の方が好きか…

昆虫標本事始め

昆虫標本事始め

数年前から、ヴェランダにやってくる昆虫を捕まえて標本にしている。自分から出かけて行って採るほど熱心ではないが、身の回りにどんな虫が棲んでいるかくらい、自分で調べてみようというわけだ。それで見よう見まねで始めたのだが、養老先生を始めとして虫好きな人というのは、だいたいみんな小さい頃から好きなので、標本作りのノウハウなどを「どうやって学んだのですか?」と訊いても、「気がついたら身についていた」と言われ

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読書できない現代人の「プチうつ病」

読書できない現代人の「プチうつ病」

【書評】『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆=著/集英社新書

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 本を読むために会社を辞めた。そう著者は言う。
 よっぽど本が好きなんだな。しかし、何も仕事まで辞めなくたっていいじゃないか。そう思うかもしれない。でも、本がたくさん買いたくて就職したのに、働き始めたら本が読めなくなってしまった。これでは本末転倒である。それで考えた結果、著者は仕事を

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必要だからやる。それが仕事

必要だからやる。それが仕事

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 養老先生が若い頃、つまりまだ東大で教えておられた頃、必要な設備を私費で購入して研究していた。そういうエピソードがある。これは美談だから紹介するのではない。先生はこの話をすると、「本当はいけないんだけどね」と苦笑いする。
 なぜいけないかと言うと、東大の教授は国家公務員だからである。ポケットマネーを使ったら、研究の目的が歪む。だから禁止されている。しかし、本

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養老孟司とイギリスの田園都市

養老孟司とイギリスの田園都市

「考える人」は、2002年に新潮社が肝入りで創刊した文芸雑誌。年4回とはいえ値段は1,400円とお安くないが、執筆陣の顔ぶれが凄まじく、充実のボリュームとなっている。なかでも目を引くのが養老先生のコンテンツだ。

創刊号だから力を入れるのはわかるが、養老先生だけで3本もある。後述のエッセイで執筆経緯が語られているが、先生は本当に人がいい。
それでは、各コンテンツのさわりだけご紹介しよう。

養老孟

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私たちは何のために働いているのだろう

私たちは何のために働いているのだろう

 戦後ドイツの文学にはKurzgeschichteと呼ばれるジャンルがある。これは日本語に訳せば「短篇」「ショートストーリー」としか言いようがないのだが、本当に2〜3頁しかないのである。とりわけ、ノーベル賞作家であったハインリヒ・ベル Heinrich Böll (1917-1985) の作品は人気があり、数多くのKurzgeschichteを残した。今日はその中から、私のもっともお気に入りの一篇

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ファンタジーに託す

ファンタジーに託す

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 私の書斎には一首の歌が飾ってあります。大学のときの恩師が詠まれた歌で、筆書していただいたものを額に入れて掛けています。こんな歌です。

  胡蝶にも
  佛果にいたる花の色
  隔てぬ梅に
  飛び翔りてそ

 現実には蝶々が梅の花を見ることはありません。なぜなら、梅が咲く頃には彼らはまだ蛹の中にいるからです。春から秋に咲くあらゆる花々を眺め、そのまわりを

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意識のはたらきと、変わらない自分

意識のはたらきと、変わらない自分

ジャケットは、ロンドンの自然史博物館で本を眺める養老先生。先生は昆虫の標本を調べるために、よくこの場所を訪れるという。
養老先生の講演CDは、筆者が知るかぎりで6枚存在するが、こちらは新潮社から出ていることもあって、もっとも手に入りやすい。ベストセラー『バカの壁』刊行の直後に出たもので、養老先生のエネルギッシュなトークを堪能できる。

❖ 寝ている間は人生か

養老先生の講演を聞いて誰もが口にする

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猫の営業部長、養老まる

猫の営業部長、養老まる

愛猫まるを抱っこする養老先生が表紙のこの本。猫好きには言わずと知れた猫雑誌「猫びより」の人気連載、著名人たちとその猫のインタビューを単行本化したものだ。
撮影当時、まるは6歳。養老先生73歳。もともとは娘さんが飼い始めた猫だったが、養老先生にいちばん懐いているという。ドタドタ走ったり、机から落ちて捻挫したり、およそ猫らしからぬまる。「でもたまにそっくりなんです。同時にあくびしたりしますから」とは、

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自由意志は存在するか

自由意志は存在するか

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 脳科学の分野ではもはや定説になりつつあるらしいのだが、自由意志というものはどうやらわれわれの幻想のようだ。少なくとも、従来考えられてきたような意味での自由意志は虚構だった。
 有名な話としては、「水が飲みたいからコップに手を伸ばす」とわれわれは思っている。ところが脳を調べてみると、「水を飲もう」という決定が発生するよりも一瞬先に、脳の方ではもうコップに手が

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客観性は「真理」か

客観性は「真理」か

【書評】『客観性の落とし穴』村上靖彦=著/ちくまプリマー新書

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 毎日スーツを着てパンプスを履いて仕事に行くことがどうしても無理──そういう理由で一般企業への就職をあきらめた女性がいる。「そんなことくらいで」と思うだろうか。「努力が足りないのでは」と思うだろうか。しかし、多くの人にとって何でもないことだとしても、彼女が就職を断念しなければならないほどに苦痛と

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不登校の現在地

不登校の現在地

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 2024年1月28日、桶川市の桶川市民ホールにて「子どもの教育を考えるシンポジウム」が開かれた。登壇したのは桶川のフリースクールHIRO代表・中里哲也氏、文科省初等中等教育局児童生徒課長補佐・大野照子氏、優育プロジェクトの的場美芳子氏、そしてわれらが養老孟司先生である。私はお手伝いのような形で関わらせていただいた。
 顔ぶれをよく見ていただくとおわかりかも

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小説家にとっての実在

小説家にとっての実在

【書評】『うるさいこの音の全部』高瀬隼子=著/文藝春秋

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 だまされた。もちろん、いい意味で。
 会社勤めをしながら小説を書いていた主人公が新人賞を受賞し、周囲の態度がガラリと変わる。穏やかだった日常が突然騒がしくなり、否応なく波乱に巻き込まれていく──そういう話だと思うじゃないですか。いや、そういう触れ込みでしたよね。

 本作は、2つのストーリーが並行し

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私の勉強法

私の勉強法

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 「字が汚い人ほど勉強ができる。」そういう俗説がある。アインシュタインもスティーブ・ジョブズも字が汚かった。真偽のほどは定かでないが、私には何となくわかる気がする。なぜなら、字が汚い人ほど、勉強で苦労したはずだからである。苦労した分だけ、勉強ができても不思議ではない。
 自慢ではないが、私も字が汚い。どのくらい汚いかというと、自分の字が見たくない。自分で見る

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『君たちはどう生きるか』を、僕たちはどう読むか

『君たちはどう生きるか』を、僕たちはどう読むか

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 白状すると、僕はこの本に不当な先入観を持っていた。しかし、それには歴とした理由がある。ご存知のように、岩波文庫はジャンルごとに色分けされている。外国文学なら赤、日本文学なら緑といった具合だ。そしてこの『君たちはどう生きるか』は青である。青は哲学や思想──カントとかヘーゲルとかショウペンハウエルとか、日本人なら西田幾多郎とかだ。だから僕は、「この本は偉い先生

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タバコ休憩は妥当か

タバコ休憩は妥当か

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 このエッセイをお読みの方はもうお気づきかと思うが、私は喫煙者である。ただし、ヘビースモーカーではない。1日に吸うのは7〜8本。出かけるときはタバコを持たない。吸える場所を探すのが面倒だからである。家に帰って吸えばよい。タバコは家でしか吸わない。もっとも、私にそれが言えるのは、家で仕事をするフリーランサーだからである。会社勤めだった頃は、いつも休憩時間にプカ

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ほろ苦い青春ソーダの味

ほろ苦い青春ソーダの味

【書評】『海がきこえる』〈新装版〉氷室冴子=著/徳間文庫

𝑡𝑒𝑥𝑡. 養老まにあっくす

 ジブリのアニメで有名な作品だが、じつは原作もいい。いや、原作の方が好きかもしれない。まだ読んでいない方は、読まないと損だ。

 高知の高校を出て東京の大学に進学した杜崎拓は、地元の同級生からの電話で、武藤里伽子も東京にいることを知る。てっきり彼女は地元組だと思っていたのに。そこから拓は、里伽子と過

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