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男はつらいよ ドイツの青年の話
今から30年近く前、私はダンスを習おうと思い立った。
子どもの頃、バレエを習っている子はみんな姿勢がよくてスリムで、猫背でぽっちゃり体型の私はとても羨ましかった。大人になっても相変わらず猫背だった私は、「ダンスで痩せて猫背もなおしたい」と憧れていた。
近所の教室はなんとなく恥ずかしかったので、ちょっと遠くにあるカルチャースクールで探してみた。すると、「リズムに合わせて一緒に気持ちいい汗をかきま
貴方が顔をしかめても
私が子どもの頃、障がいのある人や赤ちゃんを連れた若い母親がTVに映ると、母はいつも顔をしかめてチャンネルを変えた。「なぜそんな顔をするの?」と聞くと、「辛かった時を思い出すから」と答えた。子どもの私はそれが何を指すのか分からず、苦い顔をする母が不思議だった。辛い子育てをさせたことへの罪悪感も少し感じた。
小学生の時、友達数人が下校中に知的障がいのある子に話しかけているのを見かけ、なんとなくその輪
名前の文字数が多すぎて大変だった時の話
私がまだ小学生だった頃、地元の地区の子ども会リーダー研修に参加した。子ども会リーダーはその地区の大人がいつの間にか決めていて、ある日突然「ハイあなた今年のリーダーね」と宣告される。大人にとっては年に一度のイベント係くらいの軽さだろうが、子どもには「ハイあなた来月からインドに転勤ね」くらいの衝撃だ。
ではさっそく研修会に行ってきなさい、と命じられた私は、見知らぬ道を長いこと歩いて研修会場である大き
無限の可能性とか言われても
小さい頃住んでいた家の近くに、仲の良い同級生の家があった。名前忘れちゃったのでサノ君としよう。サノ君の家はいろんなものが高級で、サノ君もおっとりしていておぼっちゃまな感じだった。習い事も当時の同世代の子供としては珍しく絵を習っていた。
ある日、学校の遠足で動物園に行き、その次の日の授業中に印象に残った動物の絵を描くことになった。もともと絵が苦手だったので憂鬱だったところに、その日は担任の先生が風
ステイホームと手料理
2020年と言えば「ステイホーム」。今年まだ半年経ってないけどたぶんそうだ。
ステイホーム、それは家で三食作って食べること。私は料理が好きで、なおかつ家から出たがらない「家虫」なので、元々ステイホーム向きの生活をしていた。だから外出自粛が始まって家族全員が一日中家にいても、「朝のお弁当が無くなっただけ」と軽く考えていた。
しかしステイホーム生活が一ヶ月を過ぎる頃には、さすがにへこたれてきた。よ