ツマ

ああだこうだ言いながら、ところがどっこい生きている。日々のあれこれについて。京都

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ああだこうだ言いながら、ところがどっこい生きている。日々のあれこれについて。京都

記事一覧

かわいそうなひと

(昨年の秋に書き始めたものだけどなかなかうまくまとまりませんで。ほんで気付いたら年も明けて、季節が変わって、春になっていました。なので季節のタイムラグが拭えませ…

ツマ
3週間前
16

分かると分からない

ちょっと暗い話になるのだが、子どもの頃、わたしは子どもが嫌いだった。あんたも子どもやんと言われたらそれまでだけど、もしかしたら精神的には少しだけ大人びている方だ…

ツマ
1か月前
15

おかえりなさいの匂い

行ってきますと言うよりも、おかえりなさいと言うことの方が好きだ。小学生の頃、門限は夕方五時と決まっていた。友達と遊んで遊んで遊び尽くした後、いつも風の匂いを嗅ぎ…

ツマ
1か月前
24

オトナの階段

なあ今日ジャズ喫茶行かへん?と夫に誘われた。間髪入れずに行こう!と返事をした。というのもわたしはちょうど新しい出会いを求めていたところだったからだ。先々月30歳…

ツマ
2か月前
59

わたしは母を産んだのかしらん

小さい頃、わたしと母と姉の三人で川の字になって寝ていた。右から母、姉、わたし。率先して端っこの布団を希望したのは、ひんやりした壁にくっついて眠るのが好きだったか…

ツマ
3か月前
6

パン工場

わたしの住んでいる街、調べてみたら人口は約八万人らしい。その数が多いのか少ないのかよく分からなかったが、某政令指定都市出身の夫に言ったら、少な!!!と叫ばれた。…

ツマ
6か月前
6

みんな勝手に幸せになれ

今年の夏はもうなんだか色々ひどかった。特に8月は、かろうじて人の形をした物体というくらいのところまで落ちてしまった。心も身体もポンコツで、毎日うんざりしながら過…

ツマ
8か月前
5

夏の夜の夢

夕方六時頃、着地場所が定まらず家々にぶつかりながら飛んでいる暴れセミがいた。思わず、後ずさりをしてしまう。先日茶色のワンピースを着て出かけた時、セミが木と間違え…

ツマ
9か月前
4

わたしが先生だった頃

人生のおよそ六分の一にあたる約五年もの間、わたしは塾講師として働いていた。正確に言えば、塾講師のアルバイトだ。科目は英語たまに国語と社会で、下は小学二年生、上は…

ツマ
10か月前
11

はじめまして、ツマです

こんにちは。ツマといいます。 田んぼに囲まれた京都の田舎で、 同い年の夫と二人で暮らしています。 好きなことは色々あるけれど、 人と関わることが一番好きなのかもしれ…

ツマ
10か月前
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かわいそうなひと

かわいそうなひと

(昨年の秋に書き始めたものだけどなかなかうまくまとまりませんで。ほんで気付いたら年も明けて、季節が変わって、春になっていました。なので季節のタイムラグが拭えません。すみません。)

北海道で雪が積もったというニュースが流れた。その日はわたしが住む京都でも、吐く息が白く見えるほど空気がキーンと冷えていた。一瞬訪れた秋はもう行ってしまわはったんやろか。おかげで衣替えがずっと変なところで止まっていて、積

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分かると分からない

分かると分からない

ちょっと暗い話になるのだが、子どもの頃、わたしは子どもが嫌いだった。あんたも子どもやんと言われたらそれまでだけど、もしかしたら精神的には少しだけ大人びている方だったのかもしれない。というのも、心の中で何かを考える時間は、同年代の友だちと比べて長かったように思うからだ。わたしの家は生まれた時から毎日両親は喧嘩ばかりしていたので、振り返ると心の中で思いを巡らせる時間がとても長くあった。何が原因で大人の

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おかえりなさいの匂い

おかえりなさいの匂い

行ってきますと言うよりも、おかえりなさいと言うことの方が好きだ。小学生の頃、門限は夕方五時と決まっていた。友達と遊んで遊んで遊び尽くした後、いつも風の匂いを嗅ぎながら家に帰った。子どもの頃は考えたこともなかったけれどわたしの地元はけっこうな田舎らしく、風の匂いのベースにはいつも土の湿った匂いが感じられた。土の匂いが一番濃くなるのが農道。その農道を抜けて、友達と手を振って別れると、段々と見慣れた家々

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オトナの階段

オトナの階段

なあ今日ジャズ喫茶行かへん?と夫に誘われた。間髪入れずに行こう!と返事をした。というのもわたしはちょうど新しい出会いを求めていたところだったからだ。先々月30歳になったわたしの今年のテーマは、フッ軽。今までのわたしは新しい好きを見つけるために飛び込んでいくというよりも、好きになったものを何度も何度も咀嚼して、味がなくなってもずっと口の中に入れているような感じだった。でも30歳を迎え、年を重ねている

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わたしは母を産んだのかしらん

わたしは母を産んだのかしらん

小さい頃、わたしと母と姉の三人で川の字になって寝ていた。右から母、姉、わたし。率先して端っこの布団を希望したのは、ひんやりした壁にくっついて眠るのが好きだったから。よく壁に頬や片方の足の裏だけをひっつけたりして、布団の中の熱を逃していた。ちなみに大人になった今でも変わらず同じようなことをして寝ている。

それから何年かして姉は結婚し、家を出て行った。あんなに喧嘩をしたけれど、いつでもわたしのニ、三

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パン工場

パン工場

わたしの住んでいる街、調べてみたら人口は約八万人らしい。その数が多いのか少ないのかよく分からなかったが、某政令指定都市出身の夫に言ったら、少な!!!と叫ばれた。少ないらしい。小学校の社会の授業で習った時点では約七万人だったので、増えたには増えたがそう多くはない。たしかに近所を歩けば大体見知った顔ばかりだ。それも若者ではない、十中八九お年寄り。特に目立った会話はしないけれど、静かに生存確認をし合う仲

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みんな勝手に幸せになれ

みんな勝手に幸せになれ

今年の夏はもうなんだか色々ひどかった。特に8月は、かろうじて人の形をした物体というくらいのところまで落ちてしまった。心も身体もポンコツで、毎日うんざりしながら過ごしていた。原因を考えてみるとおそらくそれは一つではなくて、そんなものを探してしまうと数年前の出来事から昨日のあれこれまで、全部数珠繋ぎのようにぽんぽんと出てきてしまう。というわけで生きたというより気付いたら生き抜いていた。そんな8月を過ご

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夏の夜の夢

夏の夜の夢

夕方六時頃、着地場所が定まらず家々にぶつかりながら飛んでいる暴れセミがいた。思わず、後ずさりをしてしまう。先日茶色のワンピースを着て出かけた時、セミが木と間違えて背中にくっついてきたらどうしようかと一日不安だった。鼓膜の奥の方をジリジリ揺らすかのような鳴き声は聞いているとこそばゆくなってくるし、どこまでが頭でどこからが腹なのかよく分からないその見た目も込みで、わたしはセミが苦手だ。こんな暑い日、本

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わたしが先生だった頃

わたしが先生だった頃

人生のおよそ六分の一にあたる約五年もの間、わたしは塾講師として働いていた。正確に言えば、塾講師のアルバイトだ。科目は英語たまに国語と社会で、下は小学二年生、上は高校二年生まで担当した。いまだに顔や名前を覚えているような子も沢山いて、夏の甲子園の時期になるとつい生徒の名前を探してしまう。先生のこと甲子園に連れてったるわと!宣言したあの子は、今どうしているだろうか。

夕方六時頃になると、校舎内は途端

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はじめまして、ツマです

はじめまして、ツマです

こんにちは。ツマといいます。
田んぼに囲まれた京都の田舎で、
同い年の夫と二人で暮らしています。
好きなことは色々あるけれど、
人と関わることが一番好きなのかもしれないと
最近気付いたところです。
同じ名前でTwitterもしています。
@諸事情により今はひみつ
(←ちなみにTwitter社に決めてもらった
なんの愛着もないアカウント名)です。
夫との日常メインで呟いています。
気軽に話しかけても

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