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輝く文章

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noteの中で書いた文章はこちらにまとめました。
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#友達

3月の空気

3月の空気

先日、友人と食事に行った。仕事を終えたあと、二人で街に繰り出すと、どこの店も満員御礼。それは、華の金曜日というタイミングだからという理由だけでなく、3月下旬に差し掛かった今が、異動や退職や卒業といった送別にまつわる時期であることも関係しているようだった。

去年もnoteに書いた気がするが、わたしは春の雰囲気が苦手である。入園・入学・入社など新しい環境へ飛び込む者たちの期待と不安、また彼らを受け入

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27歳

27歳

ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンのように、27歳で死にたいとか、逆に27歳まで”生き延びてしまった”みたいな発言をするような、「27歳」を特別視する一部のムーブメントが苦手である。今の若い方たちの中に、この27歳を特別視する人間がどれほどいるのかは不明だが、わたしが20代の時には「俺は27歳で死ぬ」と豪語する者、無事27歳を迎えた事実を何かしら含みを持たせてアピールする者などがいた。

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わたしたち

わたしたち

先日、わたしの大好きなアーティスト・倉橋ヨエコさんが、新たな名義「ヨエコ」として音楽活動を再開するニュースが入ってきた。わたしがジャズやピアノ(ピアノ要素が入った音楽)が好きなのは、きっと彼女の影響であるし、「好きな音楽は?」と尋ねられた時、必ず彼女の名前を挙げるくらい愛してやまないアーティストであったため、これほど嬉しいニュースはなかった。

ちなみに、彼女の音楽を教えてくれたのは、友人だった。

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10/28早朝、ガスコンロの音で

10/28早朝、ガスコンロの音で

10/27は友人の命日だった。
彼は2016/10/27の早朝、一人暮らしの一室で自ら命を絶った。

家族や、わたしのような彼の友人が、その事実を知るのはこの日から少し後のこと。すべてが終わったその部屋では心ばかりの遺書が用意され、残された者が困らないよう、スマホを解除するのに必要なパスワードなどの情報が紙切れにまとめられていたのだとか。

「偶然の出来事」に、何もかも”意味”があるのだ(それこそ

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欠けた1冊

欠けた1冊

今週、古本をまとめて6冊買った。梱包の仕方も、発送元もそれぞれ異なる本が次々と送られてきて、ポストの中にそれらが入っているのを発見するたびウキウキ、ドキドキした。全国から古本を買えるようになるなんて、いい時代になったものだ。

そんな6冊の本の中には漫画本も含まれている。わたしが購入したのは、主人公が日常から感じる喜びや怒り、不安、疑問などを4コマ形式で丁寧に描いた、少しだけシリーズ化している作品

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あたらしくする

あたらしくする

最近、カードケースを買った。用途は、交通系ICカードを入れるため。つるつるとしたブラウンのクリア素材に、レトロなツバメノートのデザインがあしらわれたものだ。文房具屋で売っていたもので、価格は1000円にも満たない。

それまでわたしは、友人から誕生日プレゼントとしてもらったカードケースを使っていた。その友人とはライブだって、美術展だって、飲み会だって、何だって一緒に出かけたし、お互いの誕生日にプレ

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4回目の27日によせて

4回目の27日によせて

今日は大学時代の友人の4回忌だ。そんなことを思いながらヘッダーのイラストを描き終えたら、翌日夢を見た。(ヘッダーの左側にいる男性がわたしの友人だ。わりかし似ていると思う)

夢には大学時代、学科内でわりと仲良くしていた2人の友人が出てきた。
わたしと、亡くなった彼と、夢に出てきた2人は実験や実習が同じグループで、授業を通して仲良くなった。4人ともキャラクターや性格がまったく違い、授業で一緒にならな

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お盆の夢に出てきた人

お盆の夢に出てきた人

先週はお盆であった。
毎年なにをするというわけではないけれど、死んだ父や友人が会いに来てくれたら嬉しいな、とは思っている。

けれど、今年は亡くなった人間ではなく、生きている人間が出てきた。相手は半年以上前から距離を置かれている友人だった。

※友人の話は下記の記事で少し触れています。

友人についての詳しい話はしないが、とにかく今は連絡も取れなかった。(拒否されているようだ)その理由について推測

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「いつも」と「もしも」

「いつも」と「もしも」

「もしものせかい/ヨシタケシンスケ(著)」という絵本を読んだ。
少し前にいただいた本なのだけど、心の奥底に突き刺さりそうな本だったので、実はしばらく読まずに置いていた。そして昨夜ふと読んでみようという気になり、手に取ったのだ。

人には「いつものせかい」と「もしものせかい」の2つの世界がある。その2つのバランスがいつも均等だとは限らないし、均等でないから悪いということでもない。

「いつものせかい

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変わる、変わらない

変わる、変わらない

時期に応じて、いろんな仕事をもらっているのだけど、現在は、いろんな街に行って対象の物件や街並みを撮影し、それらの魅力を伝える原稿を書いている。知らない街に行けば楽しいし、知っている街に行けば、また別の魅力を発見する。そしてついこの間は、”知っている街”――自分の通っていた大学のある街に行ってきた。

今から9年前に、わたしはとある短大を卒業した。栄養や調理などについて学んでいたのだが、結局その道に

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駆け抜けた人たちのこと

駆け抜けた人たちのこと

本日は成人式。そして、先日は父の命日。新年を迎えて少しすると、今は亡き人のことを思い出す。それが、わたしの毎年の決まりだ。

まず、わたしは成人式には出席しなかった。引っ越し族だったヒガシノ家。そもそもわたしの生まれは「兵庫」だったが、その後は神奈川、東京で学生時代を過ごす。そして最終的に、住んで1年ほどの何のゆかりもない土地で成人の年を迎えたのだった。もちろん成人式に行っても知り合いが一人もい

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もう居ない人間の「美談」も悪くない

もう居ない人間の「美談」も悪くない

最近、誰のために何のために、漫画なり文章なりを書いているのか、そこに何か大きな意味や価値があるのか、自分が一体何をしたいのか、漠然とむなしさを感じていたけれど、もうすぐ大好きな友人の命日だと気づいてから、ああ、そういえばわたしは自分の心を整理するためにこうやって絵を描いたり、文章を書いたり、モノを作ってきたのだから、そのままで良いのではないか、と思った。

友人が亡くなったと知った直後は、「自殺」

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思い出の味は「ビタミンC」

思い出の味は「ビタミンC」

「梅雨」――この季節は心にも体にもさまざまな不調をもたらす。気分はゆるやかに落ち込み、なんとなく頑張れない、ぬるくダルい状態になる。そして安定しない気圧のせいで息苦しく、また湿気のじめじめが蕁麻疹体質の肌を刺激し、チクチクむずむずとさせた。

そんな、なにひとつ良いことのない「梅雨」という季節。その影響は、例年よりもひどく体に表れていた。つまり、現在進行形でわたしの肌の状態は絶不調なのである。

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「でぶぱん」みたいな言葉をつくれる人になりたい

「でぶぱん」みたいな言葉をつくれる人になりたい

最近、自分の発したキツい言葉が、澱のように心の奥底に沈み込んで、中途半端に落ち着かない気持ちが続いた。自身の発した言葉がこうやって自分に返ってくるのなら、他人に向けた言葉、そしてそれを受けた相手の気持ちはどうだったのだろうか。

わたしは感情的な性分で、自分の気持ちをすぐに口にしてしまうのだが、それが”短所”であると知りつつも、そうした性質を直す気がほとんどなかった。しかし、今こうしてダメージを受

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