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#コラム

台湾は「日本のパラレルワールド」過ぎて変な気分になれるので旅行先としてオススメ

台湾は「日本のパラレルワールド」過ぎて変な気分になれるので旅行先としてオススメ

GWに台北へ行ってきた。

(↑これは台北郊外の九份。)

よく「台湾は、昭和の日本のような懐かしい光景が広がる」と言われる。
が、ベトナム在住の私にとって、より発展していないホーチミンの方がよほど昭和感を感じるものであり、
台湾に感じたのはむしろ「パラレルワールド感」だった。

すごいよ。日本と「かなり同じ」だけど、「ちょっと違う」んだよ。
特に文字。

日本人にとっては、「漢字」がまあまあ読め

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ベトナムの葬式は悲しくない ~日本と猫と生死の話

ベトナムの葬式は悲しくない ~日本と猫と生死の話

とんでもない声で鳴く猫に会ったことがある。

あれは去年の7月、私が人生に悩んで盛岡の寺に一週間滞在した時だった。

お寺に招かれた日に、たまたま一人で食堂でお茶を飲んでいたら、台所の裏から、赤子が切り刻まれるような悲鳴が聞こえて飛び上がった。
台所の裏口に回ると、その音の発信源には、切り刻まれる赤子ではなく、猫がいた。
別に苦痛に顔をゆがめるでもなく、けろっとした顔で、網戸の向こうから、物欲しそ

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動物が教えてくれることは多い ー日本の寺と、ベトナムの犬猫の話ー

動物が教えてくれることは多い ー日本の寺と、ベトナムの犬猫の話ー

とんでもない声で鳴く猫に会ったことがある。

あれは去年の7月、私が人生に悩んで盛岡の寺に一週間滞在した時だった。

お寺に招かれた日に、たまたま一人で食堂でお茶を飲んでいたら、台所の裏から、赤子が切り刻まれるような悲鳴が聞こえて飛び上がった。
台所の裏口に回ると、その音の発信源には、切り刻まれる赤子ではなく、猫がいた。網戸の向こうから物欲しそうな目で私を見上げている。
明かに、網戸を開けてもらい

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日本の景色は「きれい」、でも窮屈。

日本の景色は「きれい」、でも窮屈。

■日本は、「きれい」か?日本語教師として、ベトナム人に「どうして日本に行きたいんですか」「日本はどんな国だと思いますか」という話題をもちかける機会が多い。
そのたびに彼らは答える、
「日本は、便利で、安全で、きれいです」と。

その、教科書にも載ってるくらい定番のフレーズに、いつも違和感を抱えていた。

「安全」「便利」はともかくとして、日本は「きれい」だろうか。

きれいというのは、ヨーロッパの

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お嬢様はすぐヤる

お嬢様はすぐヤる

「好きなタイプはお嬢様」と公言する男友達がいる。

東大在学中から起業し現在は数億円を動かすイケメン社長の彼がこう言い放つと、身も心も全くお嬢様ではない私は結構なダメージを食らってしまうのだが、彼の言うお嬢様の定義をよくよく聞いてみると、それはどうやら「見た目が清楚」とか「良家の子女」ということではないらしい。それも大事だけれど、肝要なのは「自分に値札をつけない」ことらしい。

真のお嬢様は、「運

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「今日は何してたの?」という問いが昔から苦手だった

「今日は何してたの?」という問いが昔から苦手だった

昨日、不思議なことがあった。彼氏と電話していた時のことだ。

彼氏とは夜寝る前に電話をすることが多い。大体、彼氏がその日あったことを話し、私が聞く。
私は話すことがあまりない。ずっと家にいるから大して出来事も起こらないし、あっても書くことで満足してしまうから、あまり話したいという気持ちにならない。

「今日は何してたの?」という問いが昔から苦手だった。

その日も彼氏にそう聞かれ、「ライヴに行った

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剪定のセンス ~何でもさらけ出して書いたから偉いわけじゃない

剪定のセンス ~何でもさらけ出して書いたから偉いわけじゃない

ひらりささんのこの文章を読んで「う~~ん」と唸ってしまった。

有料noteだから内容を全て説明するわけにもいかないが、ざっくり言うと、いわゆる「赤裸々系エッセイ」ーー「こんなにさらけ出してすごいですね」と称賛されるたぐいの文章ーーが、その言葉のもとで消費されてしまうことに、なんとなく危機感を覚えている、みたいな内容だった。

小野美由紀さんと佐々木ののかさんのVoicyでも、「よく『こんなに自分

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身体の形、文章の形

身体の形、文章の形

「要は頭に気が行ってるんですよ」
おじさんは私のコリの原因をそう断定し、私の頭ばかりを揉んでいる。

そうだ、このマッサージ屋は、「頭ばかり揉む」変な店なんだった。多分施術時間の半分くらいは頭揉んでる。正直、あんまり気持ち良くない。が、効果は確実にある。

毎回、ベッドから降りて肩をまわした瞬間に「なんで肩を全然触らないのに肩コリがとれるんだ?!」と驚愕するのだが、おじさんいわく、

「ヨガしても

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イイネ通知に振り回されない。書くための静かな「心の部屋」が欲しい

イイネ通知に振り回されない。書くための静かな「心の部屋」が欲しい

「小説が書けない」「書くことを仕事にしたいけど、仕事にしたらPVやバズを気にしすぎて」「書くことを仕事にすることは私の幸せじゃないのかもしれない……」と考える中でたどり着いたのは、「心の部屋」というキーワードだった。書いて、精神の安寧を得ること。精神の安寧を得るために、書くこと。書くことと幸せになることは、私の中で直結している……という気付きに至るプロセスを書いた文章です。

そうか、自分は連絡が

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私が会話が苦手なのは、「自分は面白い人間だ」と思ってるからかもしれない。

私が会話が苦手なのは、「自分は面白い人間だ」と思ってるからかもしれない。

書いても、話しても、本当に伝わったという確信、相手の心を動かしたという実感、自分と世界の間にある薄皮を確かに突き破ったという手応えが無い。会話が苦手だ、すぐ他人と自分の間にある壁を感じて、伸ばしかけた手を引っ込めてしまう……と悩んでいる時に、「断片的なものの社会学」を読んで、インタビューの達人、そしてエッセイの達人の語り口調から、タイトルにあるような発見を得た。

というお話。



世界を遠く

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拡散する希望

拡散する希望

ネットで良い文章を読んだら、どう良かったかを要約して、引用リツイートすることにしている。

良いものは広めた方が良いし、その方が書き手のためにもなるし、また、感想をアウトプットすることで自分の記憶の定着も良くなるからだ。

でも、ときおり、それを躊躇したくなる時もある。

そのリツイートに乗らない、つまり、拡散されない「良さ」こそが大事なのではないかと、感じているからだ。

自分にとって大事なもの

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人類が物語を書く理由と、私が小説を書く理由と、あなたがSNSをやる理由はきっと同じ

人類が物語を書く理由と、私が小説を書く理由と、あなたがSNSをやる理由はきっと同じ

なんで物語を書くのか、を、ずっと考えている。

それは「人類はなぜ物語を書くのか」という問いでもあり、「なんで私は小説を書くんだろう」という問いでもある。

私が小説を書く理由を、私の心の実感に問うと、なんとなく、「物語にしか救われない心の部位があるから」かな、と思っている。

だから私はエッセイもノンフィクションもイマイチピンと来ずガキの頃から小説ばかりを読んでいたし、書いていたのだろう。

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彼女がフェラチオ中にゲロしても神対応してくれる彼氏の見つけ方(彼氏の話6)

彼女がフェラチオ中にゲロしても神対応してくれる彼氏の見つけ方(彼氏の話6)

こんにちは。渋澤怜です。

みなさん、フェラチオ中にゲロ吐いてしまったこと、ありますか。

あるいは、フェラチオ中にゲロ吐かれたこと、ありますか。

そういった時、気まずかったですか。気まずくなかったですか。

わたし、この前、人生で初めてフェラチオ中にゲロ吐いたんですけど、

今から、わたし、

「フェラチオ中にゲロしたけど彼氏の神対応が見れてむしろ愛が深まった」

っていう、史上最凶のノロケを

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尊敬している人に会う前に緊張したり下調べしちゃう人へ ~安心しろ、近著読んでなくても焦るな~

尊敬している人に会う前に緊張したり下調べしちゃう人へ ~安心しろ、近著読んでなくても焦るな~

自分の打ちこんでいる分野(私なら小説、エッセイ、ネットでの文筆など)で尊敬している人に会う時、昔はよく、ビビってしまっていた。

その人に会えることが事前に分かっている場合、前もってその人の著作を見返し、手短で才の光る感想が上手く言えるように脳内リハーサルし、SNSで最近の動向を調べ、欠けている知識があれば補給し、それから自分がその分野でどんなことをやっていて将来どういうビジョンがあるのかをこれま

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