若月房恵

自分の言葉で、イエス・キリストと暮らす現実について書きたいと思っている、本の虫なクリス…

若月房恵

自分の言葉で、イエス・キリストと暮らす現実について書きたいと思っている、本の虫なクリスチャン。海辺に住んでいる信州マニア。

マガジン

  • 目にはみえない話し

    寓話のように、目にはみえない、キリストとの関係を書いた話し。フィクションでもないし、エッセイとも言えない。

  • 日本語訳

    日本語に訳したメッセージなど

  • キリストと生きる日常について (散文)

    ただイエス・キリストと生きているわたしの日々を、誠実に、飾ることなく、じぶんの言葉で書くことが出来たなら。

  • 本の虫12カ月

    2024年、今年こそは読んだ本をぜんぶ記録する(たぶん)

  • 読書録

    本棚を見せることは、わたしにとって自己紹介のようなこと

記事一覧

固定された記事

All is well

 いつの頃からだろうか。どんな愚痴を牧師に宛てて書いても、「All is well」としか返ってこないようになった。  牧師に愚痴を言うなんて、ですって?  そう、わたし…

若月房恵
2か月前
29

風の強い山にて

 風が強くなってきた。長らく訓練を受けていた谷を越えて、いまはこのなだらかな、牧草地のような山を歩いている。いつのまにか見晴らしの良い場所に来ていた。いつか来…

若月房恵
12時間前
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若い友人への手紙

 生きていたくない、というのね。お気持ち、分かります。分からないでしょ、と思うかもしれないけど。  あなたとは幾つ年が違うのかな、一回りくらいかな? 初めて会…

若月房恵
7日前
18

幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministries の スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 三回目になる今回は、 たったの七歳で彼が、…

若月房恵
8日前
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幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministries の スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 二回目の今回は、 『あなたがそんな環境でも…

若月房恵
2週間前
11

しなやかに、

 朝から降りだした雨は、もう嵐となり果てていた。しずかな湖とみまごう相模湾は、そんなときでも波は高くない。「割れて砕けて裂けて散るかも」なんてふうになることは…

若月房恵
2週間前
21

幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministriesの スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 十年以上前に訳したものですが、 家族にだけ見…

若月房恵
2週間前
13

本の虫12カ月 4月

↓先月の分 Dear me 本屋に寄るたびに 積ん読を増やすのを、 当分止めてくださると 助かります。

若月房恵
3週間前
33

信州松本、PARCOと南松本のヨーカドーと井上百貨店(←new)が撤退になって、駅前のアルピコプラザは生きながら死にかけていて、どうなるのだ。やはりイオンのせいか。ふと気がついたら、なにかの局面に立っていたような。とおくからどきどき眺めている信州マニアです。

若月房恵
3週間前
15

「癒されるために」 ウィリアム・ブランハム

 これはウィリアム・ブランハム(1909-1965、米)の説教から、癒しに関しての言葉を抜粋した本、 ”Healing thoughts”を日本語に訳したものです。  何年前に訳したのか…

若月房恵
4週間前
16

はるかに大きな、 大きな

 「あなたはわたしに  悪事を企みましたが、  神はそれを善に  変えてくださいました。」  ヨセフはそう言った。じぶんに嫉妬し、憎しんで、挙げ句の果てに奴隷商…

若月房恵
1か月前
23

もう半分の痛み ―アレクシエーヴィチを読みながら―

子どもを上手く寝かしつけられなくて、 何も書けない日が続いている。 この記事は、下書きに眠っていた。 去年の夏に書いたらしい。 なんで投稿しなかったかは、 もう覚え…

若月房恵
1か月前
17

「愛」 ジョージ・ハーバート (日本語訳)

 シモーヌ・ヴェイユの本に出てきた 彼女が愛した詩、 ジョージ・ハーバート (1593-1633) の 「愛」  さっき岩波のイギリス名詩選を 読み返していたら見つけたので、 …

若月房恵
1か月前
14

本の虫12ヵ月 3月

↓2月の分 大量消費みたいな、 いまのじぶんの読み方に疑問を感じて、 すこしペースを落としている (またはさぼっている)。 図書館で借りてきた本を、 期限内に読みきる…

若月房恵
1か月前
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砕かれる (短編小説)

これを二年前に書いたとき、 「今回のは素晴らしいよ!」 と牧師が初めて褒めてくれました。 「心砕かれるための学校」について、 その学校の先輩である彼と 話し合ったこ…

若月房恵
1か月前
15

安房を旅して

 関八州をひとつずつ数えてみると、千葉県だけ三つに分かれているのに気付く。  どこまでが上総で、どこから安房なのだろう、とつぶやきつつ、房総半島を旅した。  …

若月房恵
2か月前
27
All is well

All is well

 いつの頃からだろうか。どんな愚痴を牧師に宛てて書いても、「All is well」としか返ってこないようになった。

 牧師に愚痴を言うなんて、ですって?

 そう、わたしも愚痴という形で書いていたわけではない。でも「何々について祈ってくださいますか」と言いながら、クリスチャンは愚痴を語りがちなのだ。

 祈りのリクエストという名の愚痴、またはゴシップ、それから自慢話。

 All is wel

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風の強い山にて

風の強い山にて



 風が強くなってきた。長らく訓練を受けていた谷を越えて、いまはこのなだらかな、牧草地のような山を歩いている。いつのまにか見晴らしの良い場所に来ていた。いつか来た高原を思い出す。霧ヶ峰だとか、美ヶ原だとか、信州のうつくしい高原たち。

 白い道が一本ひかれている。わたしはただ前をゆく背だけ見つめながら、黙々と足を動かす。道順だとかは分からない。あの方が行くところへ付いていくだけ。だから真向かいか

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若い友人への手紙

若い友人への手紙



 生きていたくない、というのね。お気持ち、分かります。分からないでしょ、と思うかもしれないけど。

 あなたとは幾つ年が違うのかな、一回りくらいかな? 初めて会ったときのこと、いまでも覚えてます。あなたは可愛い小学生だった。お母さんに連れられて、集会に来た日のこと。まるでおとなしいふうに見えて、反抗精神にあふれてた。

 ええ、分かっていましたとも。あなたはちょっとずつ、わたしを試した。こんな

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幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministries の
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。

三回目になる今回は、
たったの七歳で彼が、
はじめての説教をしたときの話し、
そして十代になってから、
聖書の真理を求めて、
いろいろな説教師のもとを
訪ねまわる話しです。

早熟な彼は十代にして
ある教会の牧師になりますが、
究極の真理追求

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幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministries の
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。

二回目の今回は、
『あなたがそんな環境でも
神に仕えられるのなら、
ぼくだって神に
仕えられるかもしれない』
と他人に言わせた、
彼の壮絶な幼少時代についてです。

『神さまがいなければ、
心を病んでいただろう』
とみずから語る過去は、
ほん

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しなやかに、

しなやかに、



 朝から降りだした雨は、もう嵐となり果てていた。しずかな湖とみまごう相模湾は、そんなときでも波は高くない。「割れて砕けて裂けて散るかも」なんてふうになることはほとんどなくって、実朝はどこで詠んだのかしら、とふしぎに思う。

 (太宰治の「右大臣実朝」は、三浦岬に行ったときだと言う。確かにあそこは波が高い)

 助手席で夫が眠っている。ほんとうは出来るだけ、助手席には乗りたくないらしい。だって怖

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幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministriesの
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。
十年以上前に訳したものですが、
家族にだけ見せて、死蔵させていたので、
ネット上で公開してみようと思います。

シェリー牧師は、わたしのアメリカの
牧師で、預言の賜物のある、
とても霊的で、ふしぎなひとです。
その彼がみずからの奇特な人生と
神さ

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信州松本、PARCOと南松本のヨーカドーと井上百貨店(←new)が撤退になって、駅前のアルピコプラザは生きながら死にかけていて、どうなるのだ。やはりイオンのせいか。ふと気がついたら、なにかの局面に立っていたような。とおくからどきどき眺めている信州マニアです。

「癒されるために」 ウィリアム・ブランハム

「癒されるために」 ウィリアム・ブランハム



 これはウィリアム・ブランハム(1909-1965、米)の説教から、癒しに関しての言葉を抜粋した本、 ”Healing thoughts”を日本語に訳したものです。

 何年前に訳したのかも覚えておらず、しかも未完です。元の本をひとに贈ってしまったので、もう終わらせることも出来ません。そんな中途半端な文章ですが、眠らせておくのも勿体ないというだけで、ここに上げてみます。どなたか必要とされている

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はるかに大きな、 大きな

はるかに大きな、 大きな



 「あなたはわたしに 
悪事を企みましたが、 
神はそれを善に 
変えてくださいました。」

 ヨセフはそう言った。じぶんに嫉妬し、憎しんで、挙げ句の果てに奴隷商人に売り飛ばした、みずからの血肉、血の繋がった兄弟たちに。

 -あなたがわたしを憎んで、苦しめてやろうとしたことを、神さまは良い結果のために
用いてくださったのです。わたしが売り飛ばされたおかげで、多くの民の命が救われました。

 

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もう半分の痛み ―アレクシエーヴィチを読みながら―

もう半分の痛み ―アレクシエーヴィチを読みながら―


子どもを上手く寝かしつけられなくて、
何も書けない日が続いている。
この記事は、下書きに眠っていた。
去年の夏に書いたらしい。
なんで投稿しなかったかは、
もう覚えていない。
三冊目のアレクシェーヴィチである、
「チェルノブイリの祈り」を
まだ最後まで読みおわっていなかったなあ、
と罪悪感を覚えながら。



 わたしは痛みを知らないらしい。

 十代の頃のこと、毎年夏を過ごしたアメリカの教会

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「愛」 ジョージ・ハーバート (日本語訳)

「愛」 ジョージ・ハーバート (日本語訳)



 シモーヌ・ヴェイユの本に出てきた
彼女が愛した詩、
ジョージ・ハーバート (1593-1633) の
「愛」

 さっき岩波のイギリス名詩選を
読み返していたら見つけたので、
友だちに見せようと、
じぶんでも訳してみることにした。

愛がわたしを迎えてくれた。けれど罪と塵で埃まみれのわが魂は後ずさりした。
 一歩踏み入れて怯んでしまったわたしを、愛は目ざとく見つけると、
近寄って、やさしく訊

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本の虫12ヵ月 3月

本の虫12ヵ月 3月


↓2月の分

大量消費みたいな、
いまのじぶんの読み方に疑問を感じて、
すこしペースを落としている
(またはさぼっている)。
図書館で借りてきた本を、
期限内に読みきるのは良いことだけど、
こう首狩り族みたいに、
大切に読むべき本を読み飛ばすのは、
じぶんの為にならない。

 
……と思っていたのに、
後半に結構追い上げて、
今月もかなりの数を読んだ。

↓next month

砕かれる (短編小説)

砕かれる (短編小説)


これを二年前に書いたとき、
「今回のは素晴らしいよ!」
と牧師が初めて褒めてくれました。
「心砕かれるための学校」について、
その学校の先輩である彼と
話し合ったことがあった
からかもしれません。

その学校に入ったつもりでいて、
わたしはまだまだ塊のままです。
わたしもあんなふうに、
柔和に、キリストを映せるように
なりたいのですけれど。

そのことを思い出して、
未熟な文章を整え、
すこし書

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安房を旅して

安房を旅して


 関八州をひとつずつ数えてみると、千葉県だけ三つに分かれているのに気付く。

 どこまでが上総で、どこから安房なのだろう、とつぶやきつつ、房総半島を旅した。

 鴨川シーワールドのシャチショーは、3月16日14:00の回を最後に、当分のあいだ「動物の事情により」中止になったらしい。

 その最後の回を見た。

 水族館好きの夫と、海の生き物好きの息子にとって、待望のシャチショーだった。

 ショ

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