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輝く文章

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#本

スケジュール帳、読書のはなし

スケジュール帳、読書のはなし

最近、スケジュール帳に予定を書き込む機会が増えた。
2020年以降、コロナウイルスの影響を受けて、仕事やプライベートの予定が次々となくなり、以来スケジュール帳は空白状態が常となっていた。そんなスケジュール帳に、先々の予定を少しずつ書き込めるようになった。
世の中が、何かをできる状態になってきたのは、とても喜ばしいことだ。だけど、それは”リスクがなくなった状態であること”とイコールではない。見えない

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経験則と本選び

経験則と本選び

何かを選択するとき、感覚で選んでいるつもりでも、それは過去の経験をもとに良し悪しや、好みを判断しているのだろう。
たとえば、この前古着屋で服を見ていたときのこと。ユニークな柄パンツが欲しいなと、ハンガーにかかった色とりどりのパンツを物色していると、頭の中に自分の声が聞こえてくる。
「この素材は静電気が起こりやすくて、歩いていると足にぺったり張り付いてしまうからナシ」「こっちの素材は見た目はいいけど

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勉強と醸造積読

勉強と醸造積読

いろいろと知識を付ける必要が出てきたため、現在、勉強系の本を読んでいる。まず勉強を始める際、スムーズに学べるイメージがわかなかったため、「漫画でわかりやすく…」「漫画でわかる…」といった”漫画”を交えて学ぶ本を選んだ。すると、リアリティを持って学べるだけでなく、文章での解説パートも非常に丁寧だったため、そのシリーズで自分が学びたいジャンルの本を手当たり次第頼みまくった。

大人になってから「勉強す

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一万円分

一万円分

いま、夏休み中だ。
遠くまで出かける予定はなく、家でゆっくり映画を観たり、ゲームをしたり、近場で美味しいものを食べたりと、穏やかな過ごし方をしている。
今年も特に夏らしいことはしないだろう。地域の祭りを覗いたり、花火を見たり、そんな夏を過ごした日々がどんどん遠ざかっていく。一抹の寂しさはあるが、ああした夏の日々を強く焦がれるようなことはない。夏らしくない夏の過ごし方、それもまた一興…だろう。

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欠けた1冊

欠けた1冊

今週、古本をまとめて6冊買った。梱包の仕方も、発送元もそれぞれ異なる本が次々と送られてきて、ポストの中にそれらが入っているのを発見するたびウキウキ、ドキドキした。全国から古本を買えるようになるなんて、いい時代になったものだ。

そんな6冊の本の中には漫画本も含まれている。わたしが購入したのは、主人公が日常から感じる喜びや怒り、不安、疑問などを4コマ形式で丁寧に描いた、少しだけシリーズ化している作品

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本を読めなくなったか否かの話

本を読めなくなったか否かの話

時折SNSで「昔はあんなにたくさん本を読めたのに、今は全く読めなくなってしまった」といった呟きを見かける。本を読めなくなった理由は、心身の変化や生活環境、インターネットの発達など、色々あるようだけれど、わたしはいつもそういった嘆きをフーンと他人事のような気持ちで見ていた。

しかし、いざ顧みると自分もそんな「本を読まなくなった人間」の一人なんじゃないかと一抹の不安を覚える。そもそも昔の読書量と今の

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絵本とヒト

絵本とヒト

今年の8月で1歳を迎えた姪っ子は絵本が大好きなのだそうだ。

ある雨の日の保育園。お外遊びができず、先生と一緒に園内探検に繰り出した園児たち。0~1歳児用フロアがある1階からはじまり、2~5歳児用フロアがある2階まで探検することになったのだそう。

そのとき姪っ子は、1階の絵本が置いてある本棚をチェックしたのはもちろんのこと、2階にあるお兄さん、お姉さん用の絵本もくまなくチェックしたそうだ。本棚の

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忘れていた「ロアルド・ダール」の世界

忘れていた「ロアルド・ダール」の世界

久しぶりにロアルド・ダールの本を読んだ。彼が手がける作品の多くは児童書だが、大人が読んでも充分楽しめるものばかりだ。

ダールの作品といえば、映画化もされた『チョコレート工場の秘密』や『おばけ桃の冒険』『マチルダは小さな大天才』などが有名かもしれない。もちろん、このほかにもユーモラスで魅力的な作品があふれるほどある。

※出典:紀伊國屋書店

今回わたしが読んだのは『ぼくのつくった魔法のくすり』だ

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「地図」と「スマホ」――主人公にはどちらを持ってほしいか

「地図」と「スマホ」――主人公にはどちらを持ってほしいか

先日本を読んでいたら、主人公が”地図”を片手に知人の家を探す、というシーンがあった。本を読み進めていて、なんら違和感のない描写ではあるのだが、現代のわたしたちの生活に落とし込んでみると「地図を使って家を探すなんて、大変だなあ」と思ってしまうようなシーンである。

今の世の中、なにか起こってもスマホがあれば大丈夫。道に迷えば、Googleマップで一発解決だからだ。

この”本と現実世界のチグハグさ”

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何も考えないで本を読みたいときがある

何も考えないで本を読みたいときがある

わたしは太宰治や江戸川乱歩が好き。でも、彼らの作品を四六時中読めるわけではない。ちょっとした移動時間のときは、ライトな作風のエッセイを持っていったりするし、長い待ち時間があるときは、ミステリ小説を持っていくこともある。翌日何の予定もない、静かな夜のときに、温かい飲み物と一緒に読むのが、太いハードカバーの海外作家の本や、太宰や乱歩といった作品だったりする。

でも、そうじゃなくて何も考えないで本を読

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映画を観るのがド下手なので。

映画を観るのがド下手なので。

わたしはよく本を読むが、映画はあまり観ないタイプだ。そこに特段理由はないと思っていたのだが、先日『映画をあまり観ない』という明確な理由を思い出す出来事が起こった。

それはバンドメンバーが面白いと言っていたB級映画を、自宅で鑑賞していたときのこと。映画を観るのは久しぶりだなあ~!なんてリラックスして画面を見ていたのだが、冒頭4分を過ぎたころ、わたしは頭の中が疑問でいっぱいになってしまい、すぐさま同

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「社会の荒波」楽しむスタイル

「社会の荒波」楽しむスタイル

相も変わらず、社会における対人関係とコミュニケーションがすこぶる苦手で。20歳で社会に出て7年も経つというのに、いまだに冷や汗をかき、思考が止まり、そして周りの人々の時間を止める大事故をたくさん起こしている。バンド活動をしているわたしを知っている人たちは、「そんな風に見えないけどなあ」と思うかもしれないし、「やっぱり見た目通りだね…」と頷くかもしれない。そんな中、またしても仕事環境が変わるイベント

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――――という、はなし。

――――という、はなし。

先日、2018年1月12日は父の4回目の命日にあたる。本当に本当に早いものだし、無事年を越したあとは「じゃあ次は命日かぁ」と、新年を迎えると思い出すようになっていた。

※1年前の記事…「妖精の命日。(おっさんへ)」
※2年前の記事…「おっさんの妖精が本当になった日。」

22歳で父が亡くなり、今わたしは26歳。22年間しか一緒に居れなかったのか、という気持ちと、一応自分のお金で生活できるレベルに

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根に持っていること(映画vs読書)

根に持っていること(映画vs読書)

久しぶりに、根に持つほど腹を立てたことがある。非常に些細で幼い怒りなので、読み手を苛立たせてしまったら、ごめんなさい。

それは、先週ライブハウスの楽屋にて、バンドメンバーが放った一言。

「えっ?お前、映画観るの?」である。

最近わたしには、観たいな、と思う映画があった。それはとても珍しいこと。母と姉は生粋の映画好き・読書家であるが、わたしは映画をほとんど観ることがない。でも、キネマ旬報を

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