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【ラジオ】GINGA Radio Station

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記事一覧

<柴田元幸『ぼくは翻訳についてこう考えています』アルク紹介文より抜粋>
“本書は、エッセイや講演、対談、インタビュー、東京大学での授業などを記した、さまざまな文献、音声資料、ウェブサイトなどから柴田元幸の名言を選び抜いて編んだ語録集です。
構成は「ぼくが考える翻訳とは」、「ぼくの翻訳手法1&2」、「ぼくが考える翻訳という仕事」、「ぼくの翻訳の教え方」、「ぼくと村上春樹さんとのお仕事」、そして番外編

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<ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・アンソロジー』訳者・山口裕之の解説より>
“本書は、論文やエッセイといったかたちで書かれたベンヤミンの比較的短いテクスト、しかもベンヤミンを読むうえでもっとも重要なテクストを集めたものである。このアンソロジーには、たとえば『ドイツ悲劇の根源』あるいは『一方通行路』といった、ベンヤミンの思想をたとるうえできわめて重要なテクストであっても、独立した書物のかたちで出

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【百科詩典】じょうほう【情報】

あらゆることを説明できる自分に到達するために、知と情報を得なくてはならない、日々最新のものにそれを更新しなくてはならないーしかし、この怯え切った強迫観念には実は何の根拠もない。そのような「すべて」を説明できる自我などというものを目指して、「すべて」の幻想のもとに撒布されている情報を齷齪かき集めること。それが何になるのか、私にはわかりません。

ジル・ドゥルーズの力強い言葉がありますね。「堕落した情

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<佐々木中『切りとれ、あの祈る手を <本>と<革命>をめぐる五つの夜話』より>

本というのは一枚の紙を何度も折り畳んで裁断してつくるわけです。でも、そうして折り畳んで「本」にすると、急に一枚紙の文書や二枚に折り畳んで広げた書類と違って、何回読んでもわからなくなる。何度読んでも、何度目を凝らしても、すべての知識をものにしたという確信が不意に消え果てていく。不思議なことですが、これは事実です。繰り返

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<鈴木大拙『日本的霊性』、末木文美士「解説」より抜粋>

鈴木大拙(1870ー1966)の著作はかず多いが、『日本的霊性』は主著として挙げられることの多い代表作である。本書は、昭和19年(1944)12月に大東出版社から初版が出版された。戦争の最末期である。大拙75歳。そして、再版は戦後の昭和21年(1946)3月に刊行されており、まさしく敗戦をはさんでその前後にまたがる歴史的著作である。

<山内志朗『「誤読」の哲学』「あとがき」より抜粋>

「オブジェクトに託したかったのは、移ろいゆくものの存在論ということだ。オブジェクトとは存在と非存在との間のメディアであり、天使なのだ。はかないものがはかないだけではなく、消えながらもしたたかに残香(ざんこう)を漂わせるような風体(ふうてい)に憧れてきた。私がハビトゥスに拘り続けるのは、そのせいだ。そういう叙情的で文学的な枠組みを、無味乾燥で叙情

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それぞれの宇宙

大昔にアルキメデスが「地球をうごかさん」と言っただろう頃より、テコの支点だけでなく、地球を宇宙から観る「視点」も持ち合わせている人達はいた。驚くべき直観が人間に備わっていたことを想う。

それから地球にとってはほんの少しの間、人間にとってはそれなりの月日が過ぎ、17世紀初頭、ガリレオ・ガリレイによって望遠鏡は改良され、月を人間達自身の目で見ることができるようになった。遠く離れて観る月と違って、デコ

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<書籍『オリバー・ストーン オン プーチン』翻訳者・土方奈美「あとがき」より抜粋>

“アメリカや日本をはじめ西側諸国の読者にとって、本書の最大の魅力は 「逆の視点 」から世界を見せてくれることだろう。プーチン、すなわちロシア側から見る世界は、西側メディアが伝えるものとはまるで違う。いずれも西側から見れば 、プーチンのプロパガンダにすぎないかもしれないが、立場が変われば同じ事象がこうも違って見えて

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<楠木建『好きなようにしてください』「終わりにに代えて」より抜粋>

“若い頃書いた論文の文章をいま読み返すと、確かにずいぶん硬質で、もってまわった言い方をしている。それなら話すように書いてみたらどうだろう。 SING LIKE TALKINGという音楽ユニットがありますが、僕は Write like talking、つまり話すように書くスタイルで行こうと思いました。

よい文章を書く要諦は実に簡

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<2019年10月31日付 産経新聞より>
新進気鋭の批評家・千葉雅也さん初の小説「デッドライン」 

ベストセラー『勉強の哲学』などで知られる哲学者で批評家の千葉雅也さん(40)による初の小説が話題となっている。フランス現代思想を学ぶゲイの大学院生の悩みと苦闘を乾いたタッチでつづった『デッドライン』(新潮社)。自らの体験を大枠にした、という切実な青春小説はツイッターでも反響を呼び、今年の野間文芸

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固有名詞とストーリーと何か

よくよく観察すれば、僕らの周りには、色々な「モノゴト」に満ちている。

人が考え出した、作り出したならば、きっとそれには、少なくともその周辺には、固有名詞があるはずだ。

固有名詞があれば、それにまつわるなんらかのストーリーもあるんだと思う。

それと同時に、ストーリーも後から観た僕の「後付け」で、それはそれであると思う。

本当は偶然のモノゴトたちであってもそうする心の「動き」自体は何なんだろう

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<2019/10/31 CINRA.NET>
書籍『まとまらない人 坂口恭平が語る坂口恭平』が、刊行された。
作家、建築家、音楽家、画家として活動する坂口恭平。2004年に路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』を刊行。以降、ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍を発表している。2011年には、福島第一原子力発電所事故後の政府の対応に疑問を抱き、「新政府初代

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