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輝く文章

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noteの中で書いた文章はこちらにまとめました。
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#思い出

27歳

27歳

ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンのように、27歳で死にたいとか、逆に27歳まで”生き延びてしまった”みたいな発言をするような、「27歳」を特別視する一部のムーブメントが苦手である。今の若い方たちの中に、この27歳を特別視する人間がどれほどいるのかは不明だが、わたしが20代の時には「俺は27歳で死ぬ」と豪語する者、無事27歳を迎えた事実を何かしら含みを持たせてアピールする者などがいた。

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【過去エッセイ】オレンジ色の月の思い出

【過去エッセイ】オレンジ色の月の思い出

※2021-09-25/はてなブログ(ヒガシノメーコ記)で掲載したエッセイ。

”中秋の名月”ということで今週は本当に月が綺麗だった。実は最近引っ越しをし、前回の住まいよりも見晴らしのいい部屋で過ごしているので、月がよく見えた。ベランダに出て月がゆっくりと昇っていく様子を観察した日もあった。

月はオレンジの色味(赤み)が強いときがある。大きくて丸い月が出るとき、そんなオレンジがかった月を見かける

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【過去エッセイ】雨のにおい、ミミズのにおい

【過去エッセイ】雨のにおい、ミミズのにおい

※2021-08-14/はてなブログ(ヒガシノメーコ記)で掲載したエッセイ。

だいぶ伸び、重く長くなった髪に再び活力を与えるべく、美容院を予約した。パーマをかけるときは、15年以上お世話になっている隣県の美容院にお願いすると決めている。そうして電車を乗り継ぎ、やってきた某駅。構内を抜け、ひらけたロータリーに出たところで、わたしは顔をしかめそうになった。”雨のにおい”がしたからだ。

べつに自分が

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【過去エッセイ】元狂暴キャットが亡くなった話

【過去エッセイ】元狂暴キャットが亡くなった話

2020年12月、実家の猫が亡くなった。

この猫は、うちにとって”初めての猫”であり、ちょっと一癖ある猫だった。一癖とは――…一言でいうとこの猫は「狂暴」な性格の持ち主だったのである。いや、狂暴なんて生易しい言葉では足りない、”狂っていた”といっても大げさではないだろう。そんなクレイジーな元狂暴キャットがどんな風に生き、どんな最期を遂げたのか、ここに書き記す。

はじまりは15年前、2006年の

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4年前のハロウィンを思い出した

4年前のハロウィンを思い出した

洗濯し終えた洋服を干そうと、濡れた衣類をハンガーにかけていると、窓の外から「トリック オア トリート!」という元気な子どもの声が聞こえてきた。それから間を置かずに、別の子どもの泣き声も聞こえてくる。まだ朝の8時30分を過ぎた頃である。ああそうか、今日はハロウィンだ。

泣き声を上げていた子どもは、別の人間の仮装が恐ろしくて泣いてしまったのか、それともハロウィンというこのイベント自体が嫌で泣いてしま

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4回目の27日によせて

4回目の27日によせて

今日は大学時代の友人の4回忌だ。そんなことを思いながらヘッダーのイラストを描き終えたら、翌日夢を見た。(ヘッダーの左側にいる男性がわたしの友人だ。わりかし似ていると思う)

夢には大学時代、学科内でわりと仲良くしていた2人の友人が出てきた。
わたしと、亡くなった彼と、夢に出てきた2人は実験や実習が同じグループで、授業を通して仲良くなった。4人ともキャラクターや性格がまったく違い、授業で一緒にならな

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絵本とヒト

絵本とヒト

今年の8月で1歳を迎えた姪っ子は絵本が大好きなのだそうだ。

ある雨の日の保育園。お外遊びができず、先生と一緒に園内探検に繰り出した園児たち。0~1歳児用フロアがある1階からはじまり、2~5歳児用フロアがある2階まで探検することになったのだそう。

そのとき姪っ子は、1階の絵本が置いてある本棚をチェックしたのはもちろんのこと、2階にあるお兄さん、お姉さん用の絵本もくまなくチェックしたそうだ。本棚の

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変わる、変わらない

変わる、変わらない

時期に応じて、いろんな仕事をもらっているのだけど、現在は、いろんな街に行って対象の物件や街並みを撮影し、それらの魅力を伝える原稿を書いている。知らない街に行けば楽しいし、知っている街に行けば、また別の魅力を発見する。そしてついこの間は、”知っている街”――自分の通っていた大学のある街に行ってきた。

今から9年前に、わたしはとある短大を卒業した。栄養や調理などについて学んでいたのだが、結局その道に

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駆け抜けた人たちのこと

駆け抜けた人たちのこと

本日は成人式。そして、先日は父の命日。新年を迎えて少しすると、今は亡き人のことを思い出す。それが、わたしの毎年の決まりだ。

まず、わたしは成人式には出席しなかった。引っ越し族だったヒガシノ家。そもそもわたしの生まれは「兵庫」だったが、その後は神奈川、東京で学生時代を過ごす。そして最終的に、住んで1年ほどの何のゆかりもない土地で成人の年を迎えたのだった。もちろん成人式に行っても知り合いが一人もい

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2019年:「生きている感」のある年でした

2019年:「生きている感」のある年でした

年内最後のnoteが今年もやってきた。毎年この時期は、去年最後に書いた記事を見返すのだけど、2018年ラストは占い師からの”逃げは良くない”という言葉に違和感を覚えながら、派遣仕事とかけ持ちをする半分フリーランスから「完全フリーランス」になることについて、期待と不安がない交ぜになった気持ちを語っていた。
▼2018年12月29日/逃げて良し

そう。2019年は、”フリーライター1本で生きてい

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もう居ない人間の「美談」も悪くない

もう居ない人間の「美談」も悪くない

最近、誰のために何のために、漫画なり文章なりを書いているのか、そこに何か大きな意味や価値があるのか、自分が一体何をしたいのか、漠然とむなしさを感じていたけれど、もうすぐ大好きな友人の命日だと気づいてから、ああ、そういえばわたしは自分の心を整理するためにこうやって絵を描いたり、文章を書いたり、モノを作ってきたのだから、そのままで良いのではないか、と思った。

友人が亡くなったと知った直後は、「自殺」

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絵に描いたような「青春」がある人、そしてない人

絵に描いたような「青春」がある人、そしてない人

人づてに聞いた話だと、最近周りでは、出会ったり別れたりといった事案が頻発しているらしい。「夏だからかな」と誰かが言っていた。そうか。「夏だから」なのか、と思った。

夏だから。
あまりの暑さに、いつもなら笑って流せる相手のちょっとしたことが、許せなくなってしまったのだろうか?

夏だから。
あまりの暑さに、普段は気にも留めない相手の一言が、なんだかステキに心に響いてしまったのだろうか?

それって

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自分の頭を飼いならせ

自分の頭を飼いならせ

定期的に腰を痛めてしまうわたし。つい最近も、ふとしたことで腰を痛めてしまい、家にこもりがちな日々を送っていた。だから、ここ最近はアッとなるような出来事がまったくなく、少し困ったまま今回のエッセイを書きはじめた。

そんな中でも、最近頑張っていることといえば、”夜更かしをせずに寝ること”だろうか。(――そんなこと、頑張ってるの?…そう、そんなことを頑張ってるの)

今年に入り、フリーランスの仕事一本

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思い出の味は「ビタミンC」

思い出の味は「ビタミンC」

「梅雨」――この季節は心にも体にもさまざまな不調をもたらす。気分はゆるやかに落ち込み、なんとなく頑張れない、ぬるくダルい状態になる。そして安定しない気圧のせいで息苦しく、また湿気のじめじめが蕁麻疹体質の肌を刺激し、チクチクむずむずとさせた。

そんな、なにひとつ良いことのない「梅雨」という季節。その影響は、例年よりもひどく体に表れていた。つまり、現在進行形でわたしの肌の状態は絶不調なのである。

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