記事一覧
ハロー今君に素晴らしい世界が見えますか
「おれ、馬鹿だからわかんない、誰か教えて」
その日は、大いにだらけていた。夏場のホッキョクグマのような形態になり、youtubeを閲覧していた。最初は目を疑った。まさか偏差値70超えの有名大学出身の頭脳系YouTuberが、こんなコメントを残すなんて。僕は驚き、飛び起きた。
「自慢」が過ぎると、人を嫌な気持ちにさせる。これは、重々理解している。普段から、なるべくしないように注意を払っている。し
駒込ピポットを盗んだ
中学1年の冬だったか。僕が犯行を行ったのは。
あれは、理科の実験で「紫キャベツの煮汁」を作った日。理科室の窓からは、校庭に積もった雪が見える。朝礼台やサッカーゴールが、埋もれていた。昨夜の大雪の所為か。敷き詰められた雪に、太陽光が反射し、教室を熱くした。矛盾した気温に「身勝手な」と思った。
鍋の中でキャベツが煮込まれており、紫色の汁が出来上がっている。ビーカーに移した紫の液体。僕たちは、駒込ピ
こちら東京、こちら東京
また、靴下に穴が空いた。いつもと同じ、中指の爪先と、足の裏。
全く、いつ空いたのだ。朝は、こんな穴無かったはずである。確かに、僕は注意力散漫な男ではある。でも、中指がこの長さまで、はみ出しているのに、見逃すのは逆に不可能である。
ああ、でもダメだ。朝から穴が空いていた気がして来た。この前、なぜか右目の下辺りにマヨネーズが付いていた。それに気付かず、喫茶店に入り、恥をかいた。朝の自分が信じられな
禍福はトム・ハンクスの如し
『自分を精神的に追い詰めて、映画への没入感を増幅させる』
これは僕が考えた、観劇ハックの1つだ。
これは、とても良い。『映画なんて見てる場合じゃない』のは当たり前で、気を抜くと天井の角を2時間くらい見つめている、そのくらいには追い込んだ方が良い。その方が、映画の世界観へ入れて、成功した暁には、脳がトリップする。
蛍だって、そうだろう?
家の裏山に行けばいつでも見られたあの頃も良かったが、一
時計じかけのフルメタル・ガンプ
人と違う感性を持っていると思われたくて『フォレスト・ガンプ』を見たことがない。もちろん、馬鹿げた意地だと分かっている。
『Run ! Forrest! Run!』
作中に出てくるこの名シーンを、僕は見た事が無い。なぜ知っているかというと『フォレスト・ガンプごっこ』なるものが流行ったからだ。なので、使った事はある。先頭に遅れをとっている全ての人を『フォレスト』と呼びつけにし、走らせていたのも、そ
親しき仲にも配慮が無いと
嫁が、冷蔵庫の上にある小さな収納棚を指差して『ハンドソープの詰め替え、取って』と言って来た。確かに、冷蔵庫の身長は、彼女よりも高い。棚から詰め替えボトルを取り出すには、踏み台を準備して、2段登らなければならない。でも、僕の身長ならば、つま先立ちをすればギリ届く。命令口調に多少引っ掛かりながらも『まぁおれの仕事だな』と自分を説得し、冷蔵庫の前を通るついでに取り出して、キッチンの上に置いておいた。
比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない
誰かと自分を『比較』しては、テンションが下がり、下を向いて歩く日々を送っている。
ことエッセイで言えば、人気の記事を読み『どうやったら俺のも読んでもらえるのか?』『このテーマで俺ならどう書く?』『俺にこの描写、このまとめ方ができるのか?』などと、考えてしまう。
そして、読み終えた直後、自分の可能性に賭け、いざ筆をとると、あまりに無惨な表現に、吐き気を催す。
何も出ない。
気を抜いていると、
これが『弱さ』を認め人の靴を舐める『強さ』を手にする手順である
あんぐりと口を開き、左斜め上あたりを眺めている。ふと『上顎は乾いているのに、口の中にヨダレが溜まってきた』という事実に気付き、この世に帰って来たところである。
その時、僕の目の前を、宙に漂う『埃』が横切った。
目で追ってみると、左斜め上から落ちてきた埃は、空気抵抗で少しホップアップしたり、瞬間的にスピードを上げたり、歪な動きをしている。僕には感じ取れない程の、微かな空気の流れに、身を任せている